2002 Fiscal Year Annual Research Report
食べるワクチンを用いた,経口免疫によるTh1誘導とオーエスキー病ウイルス感染防御
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14656112
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松本 安喜 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (90251420)
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Keywords | オーエスキー病ウイルス / PrV / 粘膜免疫 / 経口免疫 / 細胞性免疫誘導 / Th1 / edible vaccine / コレラトキシン |
Research Abstract |
オーエスキー病は,アルファヘルペス亜科に属するオーエスキー病ウイルス(PrV)の感染により発症するブタの感染症である.本疾患は,幼齢豚ではしばしば致死性であり,成豚では,一過性症状を示した後回復するが,そのほとんどは,ウイルスキャリアーとなり汚染源となる.また,妊娠豚では死産・流産となる.オーエスキー病に対する経口免疫法の確立を目的とし,PrV感染細胞の経胃投与による免疫効果を検討した.PrVウイルスは,マウスに致死性感染するPrVインディアナ株を用いた.マウスは,C3H/HeN雌7,8週のものを用いた.免疫抗原としては,フォルマリンによりウイルス不活化処理をしたPrV感染CPK細胞を用い,胃カテーテルにより6回経胃投与した.抗原最終免疫の7日後に20xLD_<50>のPrVを経鼻接種し,粘膜免疫による感染防御効果を検討した.血清中の抗PrV抗体価をELISA法により測定した.また,フォルマリン処理PrV50μlをマウス足蹠に接種し,DTH反応を行った.免疫抗原にコレラトキシン(CT;10μg/head)およびコレラトキシンBサブユニット(CTB;80μg/head)を添加した際のアジュバント効果についても検討した.PrV感染細胞を免疫したほとんどのマウスにおいてPrV特異的IgGおよびIgAが検出されたが,PrV感染細胞のみを投与したマウスに比べ,CTまたはCTBを添加したマウスにおいて,IgG, IgA抗体価が上昇していた.PrVの経鼻接種により,PrV感染細胞のみを投与した群は,全頭死亡したが,CTおよびCTBを添加した群では,6割程度生存した.PrV経鼻接種により生存したマウスでは,IgG2a/IgG1比の上昇が認められた.CTおよびCTBを添加した群では,殆どのマウスにおいてDTH反応が認められたが,PrV感染細胞のみを投与したマウスでは認められなかった.抗原蛋白の経口免疫により,PrV感染に対する防御免疫の誘導が可能であることが示唆された.また,コレラトキシンなどのアジュバントの有用性も示された.
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