2003 Fiscal Year Annual Research Report
血管内皮細胞のアポトーシス誘導による抗血管新生療法の開発
Project/Area Number |
14656115
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
奥田 潔 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (40177168)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹内 栄 岡山大学, 理学部, 助教授 (20226989)
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Keywords | 血管新生 / 血管内皮細胞 / アポトーシス / ウシ / 黄体 / Fas / Fasリガンド / サイトカイン |
Research Abstract |
昨年度はウシ黄体細胞由来血管内皮細胞においてFas mRNA発現が認められ、腫瘍壊死因子(TNFα)およびインターフェロン(IFN)-γがFasを介レたアポトーシス誘導機構に関与していることを明らかにした。本年度は、(1)成長因子のFasを介したアポトーシスにおよぼす影響、(2)アポトーシス誘導機構または抑制機構のメカニズム(bcl-2ファミリーのmRNA発現)、(3)血管内皮細胞にFas遺伝子導入を行うことによるアポトーシス誘導モデルの作出について検討した。 1.TNFα、IFNγおよびFasリガンドの添加に加え、成長因子(VEGF,IGE,bFGE,EGF)を単独または組み合わせて添加し、血管内皮細胞の細胞死およびアポトーシスの指標となるアポトーシス小体ならびにDNAの断片化についてそれぞれ検討した。その結果、VEGF単独または、VEGFと他の成長因子の組み合わせ添加において、TNFα、IFNγおよびFasリガンドの誘導するアポトーシスが抑制された。さらに、これらの添加区においてアポトーシス小体ならびにDNAの断片化が減少した。 2.1.の各添加区において、bcl-2およびbax mRNA発現について検討した。その結果、アポトーシスの抑制が認められたVEGF単独または、VEGFと他の成長因子を組み合わせた添加区において、baxに対するbcl-2発現の割合が高くなった。 3.血管内皮細胞にFas遺伝子導入をしたアポトーシス誘導モデルマウスの作出を試みたが、生存能力が極めて低く、目的としている部位にFasリガンドを注入する実験には至らなかった。 以上の結果から、ウシ黄体の血管内皮細胞において、VEGFなどの成長因子はFasを介したアポトーシスに対する抑制作用をもち、その作用はbaxに対するbcl-2発現を高めることによることが示唆された。今後は、アポトーシス誘導モデルマウスを改良し、生体におけるアポトーシス誘導機構の詳細について検討していく予定である。
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