2002 Fiscal Year Annual Research Report
Transforming RNAによる細胞がん化機構の解析
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14657057
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
濱田 勝友 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 助手 (00136144)
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Keywords | transforming RNA / eIF-4E / 4E-BP1 / ヒトHeLa細胞 / ヒトTIG3細胞 / c-myc / bicistronic Plasmid / cap-independent tranalation |
Research Abstract |
これまでの成績からtransforming RNAのprimary actionは「分泌、膜、およびリソソーム系蛋白全般の合成抑制」であると結論した。次にこの抑制から続発する出来事を探索した。mRNAのcap構造に結合して翻訳を開始する因子群のうちeIF-4Eは量的に限定された因子として知られている。Transforming RNAが分泌蛋白全般の合成を抑制することから量的或は機能的にeIF-4Eの変化が起こることが想像される。Western blottingによりtransforming RNA発現細胞でeIF-4Eの量的増加が示されこの蛋白は専ら細胞内の非分泌系蛋白合成に向けられることが推察された。一方、eIF-4Eは結合蛋白4E-BPsによりその活性が調節されていることが知られている。現在4E-BP1は最も解析されPI3K→Akt→FRAP/mTORのシグナル伝達経路を通じてリン酸化を受けeIF-4Eとの結合能力を失うと共にeIF-4Eを活性化する。Transfbrming RNA発現細胞におけるeIF-4Eの機能的変化を知る目的から4E-BP1について検討した。細胞はヒトHeLa細胞および正常ヒトTIG3細胞を用いた。増殖期にある細胞においてはtransforming RNA発現および対照細胞との間に4E-BP1のリン酸化に差は見られなかった。しかし、confluent状態において血清刺激に際して対照細胞ではリン酸化されるのに対してtransforming RNA発現細胞において脱リン酸化される成績を得た。この結果は癌細胞および正常細胞ともに同様である。Transforming RNA発現に伴う特異的変化と考えられた。現在この脱リン酸化の機構について解析中である。 c-myc, FGF-2, VEGF etcのmRNAsはlong 5' untranslated region(UTR)を保有し有意な二次構造を持つ。癌細胞或はcap-dependent translationが抑制される状況においてこれらのmRNAsはcap-independentlyに翻訳される。c-mycに関してP2転写開始点からの5'UTRをcloningした後CAT遺伝子上流に挿入しbicistronic plasmidを構築した。eIF-4E活性に比例して翻訳開始点CUGおよびAUG両者の翻訳産物の出現を確認した。Cap-dependent translationを確認した。更にhairpin構造を5'UTR上流に挿入しcap-dependent translationを阻害することからcap-independent translationの有無をtransforming RNA発現細胞において検討中である。
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