2003 Fiscal Year Annual Research Report
尿路結石から分離された未知細菌の病原性及び分子生物学的解析
Project/Area Number |
14657068
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Research Institution | Okayama Gakuin University |
Principal Investigator |
友近 健一 岡山学院大学, 人間生活学部, 教授 (00093691)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
公文 裕巳 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (30144760)
矢尾 謙三郎 岡山学院大学, 人間生活学部, 教授 (50032892)
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Keywords | Nanobacteria / 増殖粒子 / 結石様構造物 / モノクロナール抗体 / SPring-8 / CT解析 |
Research Abstract |
研究代表者等は、患者から摘出した尿路結石から増殖性の小粒子(1〜5μm)を分離した。昨年度はこの増殖性粒子から核酸の抽出を行い、リボタイピングから細菌種の同定を試みたが、グラム陽性菌に相当する塩基配列が得られた。しかし、タンパク質の検出には成功しなかった。今年度は増殖性粒子を抗原としてモノクロナール抗体の作成を試み、得られたモノクロナール抗体を用いて抗原の同定を試みた。ウェスターンブロット解析では分子量14kDaのバンドを検出する抗体が明らかになったが、他の多くのクローンでは血清アルブミンまたはその近傍のタンパク質に反応するものしか検出できなかった。現在、モノクロナール抗体を用いて抗原を濃縮することを試みている。 増殖性粒子は血清を含む培地中では単個体として存在するが、血清を除いた培地ではその形成までに数ヶ月を要するが尿路結石様の構造を呈するようになる。この結石形成過程を解析する目的で高輝度放射光施設(SPring-8)において、結石様物質及び増殖性粒子のCT像観察及び元素分析を行った。元素分析の結果から、結石様物質及び増殖性粒子を構成する物質はハイドロキシアパタイトであることが明らかになった。増殖粒子のCT像は分解能力の関係で明確には観察できなかったが、結石様構造物の形成は増殖粒子が凝集したものの上にハイドロキシアパタイトが層状に蓄積したものであることが明らかになった。すなわち、結石様構造物の形成には2段階の反応が必要であることが明らかになった。このことからも、増殖粒子の増加は単なるリン酸カルシウムの蓄積(無機化学反応)ではなく何らかの生物学的反応が必要であると思われる。
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