2002 Fiscal Year Annual Research Report
飲料水に含まれる発癌プロモーター物質による汚染の実態と予防に関する研究
Project/Area Number |
14657103
|
Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
清水 英佑 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (80056879)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堤 智昭 国立医薬品食品衛生研究所, 食品部, 研究員 (70312022)
宮越 雄一 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (00343533)
|
Keywords | マイクロシスチン / 飲料水 / 中国 / MC-LR / ELISA / 小核試験 / 肝機能 / ミネラルウォーター |
Research Abstract |
中国ハルピン地区における飲料水中のマイクロシスチン(MC)汚染調査のため、夏季と秋季に渡り、肝臓癌死亡率の高い地域の住民が飲用する河、湖沼の水、水道水、井戸水(約60検体)および肝臓癌低死亡率地区住民が飲用する水道水、水源水、市販ミネラルウォーター(約180検体)をサンプリングした。競合型酵素免疫測定法(ELISA)によりMC含有量を定量した。同時に、飲料水源の汚染状況を把握するため、pH、COD、硝酸イオン、亜硝酸イオン、アンモニウムイオンの濃度を測定するとともに、処理した末端水道水中の残留塩素濃度も定量した。 結果から、ハルピン市内供給用水源はMCにより汚染され、富栄養状態になっていたことが明らかになった。一方、塩素処理された末端水道水中にMCが検出されなかったが、残留塩素量はWHO基準値より極めて低いため、浄水処理は不完全と考えられた。肝臓癌死亡率の高い地域の飲料水源(鏡泊湖)と現地住民が飲用する貯め水のすべての検体よりMCが検出された。水源水中のMCの最大値は529.4pg/mlであった。貯め水中MCの含量は33-40pg/mlであった。貯め水中MCの濃度が低くなった理由として、家庭によってはさらし粉を使って簡易浄水したためと考えられた。また、すべての市販ミネラルウォーターの検体中にMCが検出された。以上の結果により、中国ハルピン地区の高肝臓癌死亡率地域の住民は夏季から秋季にかけて、飲料水中のMCに慢性曝露されている可能性がある。 さらに、我々は哺乳類動物細胞(CHL細胞)を用いて、小核試験によりMC-LRの遺伝毒性を調べている。連続処理で24,48,72時間中、24時間では小核の誘発頻度は見られなかったが、48,72時間では、5μg/mlと10μg/mlの濃度で小核の誘発頻度は陽性となった。今後、MC-LR、MC-YR、MC-RRおよび混合物の遺伝毒性について、さらに詳しく検討する予定である。
|
Research Products
(1 results)