2002 Fiscal Year Annual Research Report
膵臓癌に対する腫瘍集積物質を用いた力学的治療に関する基礎的研究
Project/Area Number |
14657122
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
横山 和典 旭川医科大学, 医学部, 講師 (40292106)
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Keywords | 膵臓癌 / クロリン誘導体 / 腫瘍集積物質 / 力学的治療 |
Research Abstract |
平成14年度はクロリン誘導体ATX-10の移行様相を検討した。 1.ヒト膵臓癌培養細胞Panc-1へのクロリン誘導体の移行様相 培養フラスコ内にATX-S10 Na(II)を5,10,15,20μg/mlの濃度で投与し、経時的に細胞内濃度を窒素パルストレーザーで測定した。細胞内濃度は15μl/mlをピークとする濃度依存性の移行様相を認め、20μg/mlでも移行濃度は上昇したが、上昇が有意ではなかった。暴露時間に関しては1、2、3、6、9、12、24時間で測定したが、9時間をピークとする濃度の上昇が得られ、概ね6時間において十分な細胞内移行が得られた。 2.クロリン誘導体の力学的感受性の効果 細胞内に取り込まれたATX-S10(II)の温熱刺激に殺細胞効果に関しては、投与6時間後において、42℃の温熱刺激30分を与えたところ、細胞死が観察されたが、MTTアッセイやDNA断片化の測定による客観的な殺細胞効果の判定に関しては有意な差異を認めなかった。これは温熱刺激そのものが培養条件に影響を与え、細胞死を誘発させることに起因するものと思われ、刺激条件の検討を行っているが至適条件の決定には至っていない。温熱感受性のある種々のクロリン誘導体による検討は次年度に予定している。 3.ヌードマウス移植膵癌細胞に対するクロリン誘導体の移行様相 すでに確立済みの胆管癌細胞(HuCCT 1)移植ヌードマウスで再検討した。ATX-S10 Na(II)15mg/kgを静脈内投与し、組織内投与を測定したところ、投与2〜3時間において有効な腫瘍内・正常組織内濃度が得られた。本実験データを参考に温熱感受性のあるクロリン誘導体による検討を次年度に予定している。
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