2002 Fiscal Year Annual Research Report
アミロイド前駆体蛋白の変異導入ES細胞を用いたアルツハイマー病神経細胞の確立
Project/Area Number |
14657156
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
阿部 陽一郎 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (10317331)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 祐一 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (00317330)
新倉 貴子 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (10301491)
西本 征央 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (80180652)
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Keywords | ES細胞 / アルツハイマー病 / ノックイン / 分化誘導 / 神経細胞 / 疾患モデル |
Research Abstract |
申請者らが独自に確立した高効率神経分化誘導法により野生型マウスES細胞から分化した神経細胞は、各種神経細胞のマーカーの発現を蛍光抗体法により同定したところ、90%以上が成熟経細胞であった。これらの神経細胞の神経伝達物質の特徴をRT-PCR法により調べた結果、GABA作動性ニューロン及びグルタミン酸作動性ニューロンが存在していたが、コリン作動性ニューロン、カテコールアミン作動性ニューロン、及びセロトニン作動性ニューロンはほとんど存在していなかった。また、この細胞のAPP及びtauのオルタナティブスプライシングについてRT-PCR法を用いて解析したところ、APP_<695>すなわち神経細胞型のAPPを発現しており、また、tauは中枢神経系型で、最終分化誘導後3週目を境に胎児型から成人型へと変化することが明らかとなった。 この手法を家族性アルツハイマー病変異であるV642I変異を内在性APP遺伝子にノックインしたES細胞に適用し、アルツハイマー病のモデル神経細胞の作成を試みた。この神経細胞は、MAP2,NF-M, tau, synaptophysin, Rab3A, BACE1といった神経系のマーカーの発現、及び、APP, APLP1,APLP2の発現のノーザンブロット法による解析、また、APP及びtauのオルタナティブスプライシングパターンの解析により、野生型と同様の神経細胞へと分化することが明らかとなった。一方、最終分化誘導後ES細胞由来の神経細胞から分泌されるAβの濃度を測定したところ、家族性アルツハイマー病変異ノックインES細胞由来の神経細胞ではAβ42の分泌が野生型に対して有意に亢進している事が明らかとなり、アルツハイマー病の表現型のうち少なくとも1つを有している事が分かった。
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