2003 Fiscal Year Annual Research Report
新しく発見された呼吸器感染ウイルス(ヒトメタニューモウイルス)に関する臨床的研究
Project/Area Number |
14657179
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
菊田 英明 北海道大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (30271654)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
海老原 敬 北海道大学, 医学部・歯学部附属病院, 医員
石黒 信久 北海道大学, 医学部・歯学部附属病院, 医員
小林 邦彦 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (60091451)
|
Keywords | ヒトメタニューモウイルス / ウイルス分離 / 抗体価測定 / RT-PCR |
Research Abstract |
本年度はhuman metapneumovirus (hMPV)が小児呼吸器感染症と関係あるか否かを確かめることに焦点をあて、次の結果を得た。 1.tertiary monkey kidney cellを用いたウイルス分離方法の確立。呼吸器感染症患者から採取した咽頭鼻汁ぬぐい液268検体中7検体(2.6%)よりウイルスが分離された。 2.RT-PCR法の確立。呼吸器感染症患者から採取した咽頭鼻汁ぬぐい液637検体からtotal RNAを抽出して、hMPVのF蛋白の塩基配列を元に作製したprimerを用いてRT-PCRを行ったところ、57検体(8.9%)よりhMPV特異的バンドが検出された。 3.PCR産物の塩基配列を系統解析したところ、塩基配列上hMPVは2群に大別されることが明らかになった。 4.蛍光抗体法による抗体検査法の確立。年齢が1か月から35歳までの142検体について抗hMPV抗体を検索したところ、抗体保有率は72.5%であった。移行抗体の影響がある生後6か月未満を除くと、加齢と共に抗体保有率の増加を認めた(6mo-ly,17.7%;1-2y,33.3%;2-5y,76.7%;5-10y,92.9%;10y-,100%)。 5.上記1.または2.でウイルスの存在が証明された患者のなかで、急性期と回復期のペア血清が得られた10組の抗hMPV抗体価を測定すると、8組で4倍以上の抗体価の上昇を認めた。残りの2組は急性期に既に抗体価の上昇を認めていた。 6.生後4か月から1歳まで健康児の、抗ヒトRSウイルスIgG抗体価と抗hMPV IgG抗体価を比較すると、後者の陽性率が有意に高かった。RSウイルス感染に先がけてhMPVに感染する傾向があるのかもしれない。 以上、小児の呼吸器感染症を起こす原因ウイルスのなかで、hMPVは重要な位置を占めていることが明らかになった。
|
Research Products
(4 results)
-
[Publications] Takeshi Ebihara: "Comparison of the Seroprevalence of Human Metapneumovirus and Human Respiratory Syncytial Virus"Journal of Medical Virology. 72・2. 304-306 (2004)
-
[Publications] Takeshi Ebihara: "Human Metapneumovirus Infection in Japanese Children"Journal of Clinical Microbiology. 42・1. 126-132 (2004)
-
[Publications] Takeshi Ebihara: "Seroprevalence of Human Metapneumovirus in Japan"Journal of Medical Virology. 70・2. 281-283 (2003)
-
[Publications] 海老原 敬: "human metapneumovirus気道感染症"小児科. 44・8. 1251-1258 (2003)