2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14657226
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
遠藤 由香 東北大学, 大学病院, 助手 (00343046)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
唐橋 昌子 東北大学, 大学病院, 医員 (10375032)
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Keywords | 摂食障害 / ヒスタミン / PET |
Research Abstract |
昨年度に引続き、中枢ヒスタミン神経系の動態を明らかにするため、H1受容体の放射性リガンドである「11C」ドキセピンを用いたPET検査を行った。対象は通算で健常女性10人、神経性食思不振症患者10人である。被験者には全例インフォームドコンセントを事前に得、さらにドキセピン投与量は約2.8-3.5mCiと当初の予定投与量より少ない量で行い被検者への影響を最小限にして実施。全例安全に問題なく検査を終えている。また男性例は先行研究の健常男性10例を用いることとした。 現在解析を終えた健常男性7例、健常女性9例、神経性食思不振症患者7例を比較検討した。男女差の検討では、健常男性に比し健常女性において、前頭眼窩野で有意に結合能の亢進が認められた。疾患群と健常者との検討では、健常男性に比し患者群において、扁桃体で有意に結合能の亢進を認め、前頭眼窩野で亢進傾向を認めた。また健常女性に比し患者群において、扁桃体で亢進傾向を認めた。逆に女性群や疾患群で結合能の低下している領域は認めなかった。今回結合能に差が認められた、扁桃体、前頭眼窩野は辺縁系回路の一部をなし、食物に対する情動評価を行っていると考えられ、非常に興味深い結果である。中枢ヒスタミン神経系は単に満腹中枢の刺激による摂食の調整だけでなく、より高度な精神機構を介して摂食障害の病態に影響を及ぼしている可能性がある。しかも性差を認めることから、この疾患が女性に多いという発症因子としての重要性も示唆される。 今後全例の解析を行い、さらに先行研究であるうつ病との比較、各種心理テストで評価した心理傾向との関連、レプチンなど他の摂食調整因子との関連などを検討することで、中枢ヒスタミン神経系の役割がさらに明らかになると考えられる。
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