2003 Fiscal Year Annual Research Report
胎盤絨毛細胞へのアニオントランスポーター遺伝子導入による胎児治療の試み
Project/Area Number |
14657258
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
岡村 州博 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (90124560)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅原 準一 東北大学, 医学部附属病院, 講師 (60280880)
阿部 高明 東北大学, 医学部附属病院, 講師 (80292209)
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Keywords | 有機アニオントランスポーター / OATP-E / 胎盤 |
Research Abstract |
ヒトの各末梢臓器での甲状腺ホルモン輸送に関係することが知られている有機アニオントランスポーターOATP-Eのヒト胎盤における発現の有無ならびに局在の同定、妊娠経過に伴う発現量の変化を検討するため、東北大学倫理委員会の承認ならびに産婦の同意のもとで本研究を行った。 抗体作成:合成OATP-Eポリペプチド注射後のウサギ血清から抗OATP-Eポリクローナル抗体を精製し研究に供した。 Western blot法:正期産帝王切開分娩直後の胎盤から超遠心分離した膜たんぱく、ならびに陽性対照としてヒト脳膜たんぱくを用い、抗OATP-E抗体を用いたWestern blot法により解析を行った。 その結果、分子量約64kDaに特異的バンドの発現を確認した。 免疫組織化学:正期産帝王切開分娩直後の胎盤から凍結切片標本を作成し、抗OATP-E抗体を用いた免疫染色、ならびに局在の同定としてHE染色を行った。 その結果、合胞体栄養膜細胞(Syncytiotrophoblast)の表層(絨毛間腔側)細胞膜にのみ発現を認め、合胞体栄養膜細胞の基底層(間質側)細胞膜、細胞質、ならびにその他の絨毛構成細胞には発現を認めなかった。 RT-PCR法:妊娠初期(first trimester)ならびに妊娠後期(third trimester)に娩出された胎盤からRNAを抽出し、RT-PCR法により妊娠経過に伴うOATP-E発現量の変化を解析した。 その結果、概して妊娠初期での胎盤内OATP-E発現量は妊娠後期の発現量より多い(約3倍)傾向にあった。 以上の結果により、OATP-Eが胎盤内における甲状腺ホルモン輸送に関与すること、また妊娠経過に伴い経母体的に取り込まれる甲状腺ホルモン量を調節していることが示唆された。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Sato K, Sugawara J, Okamura K, et al.: "Expression og Oganic Anion Transporting Polypeptide E(OATP-E) in Human Placenta"placenta. 24. 144-148 (2003)