2004 Fiscal Year Annual Research Report
周生期脳障害の抑制効果を示す機能性糖鎖の同定と作用機序の解析
Project/Area Number |
14657260
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Research Institution | Institute for Developmental Research, Aichi Human Service Center |
Principal Investigator |
大平 敦彦 愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所, 周生期学部, 部長 (20101074)
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Keywords | 脳障害 / プロテオグリカン / コンドロイチン硫酸 / 神経系前駆細胞 / FGF-2 / 細胞増殖 |
Research Abstract |
本研究の目的は、プロテオグリカン、特にそのコンドロイチン硫酸(CS)糖鎖を利用して、周生期脳障害の新たな早期治療法への道を拓くことである。この目的に向かって、本年度は、以下の成果を上げた。 1.コンドロイチン硫酸による神経系前駆細胞の機能調節 神経系前駆細胞のニューロスフェアー培養系に、FGF-2と共に種々の市販CS標品を添加したところ、CS-BおよびCS-Eがヘパリンやヘパラン硫酸と同程度の増殖促進効果を持つことを発見した。さらに、驚くべきことに、神経系前駆細胞に富む胎生14日ラット胎仔脳由来のCS標品にも、FGF-2依存性の神経系前駆細胞の増殖を促進する活性が認められた。このCS標品は、CS-B由来の二糖単位(B-unit)を約5%、CS-E由来の高硫酸化二糖単位(E-unit)を2%弱含む。このことから、これら二糖単位が構成する機能領域が、胎仔脳由来のCSには存在することが示唆された。 2.コンドロイチン硫酸機能領域の検索 CS-BおよびCS-E多糖鎖中の、神経系前駆細胞増殖促進活性領域を同定することを目指して、CS-Bを亜硝酸/ヒドラジン分解により、また、CS-Eを精巣性ビアルロニダーゼ消化により、分子サイズの異なるオリゴ糖を調製した(弘前大学・高垣啓一教授による)。いずれのオリゴ糖も、FGF-2の活性を増強しなかった。一方、CS-BとFGF-2存在下で、CS-B由来オリゴ糖を添加した場合、二糖画分がCS-B多糖によるFGF-2の活性増強を抑制した。また、CS-EおよびFGF-2存在下で、CS-E由来オリゴ糖を添加した時には、六糖および四糖画分がCS-E多糖によるFGF2の活性増強を抑制した。この結果から、FGF-2依存性の細胞増殖を促進するためには、CS-BとCS-Eは多糖であることが心要である。しかし、その活性発現に必須な機能領域は、二〜六糖程度の低分子と思われる。
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Research Products
(8 results)