2003 Fiscal Year Annual Research Report
転写因子遺伝子に対するdecoyを利用した癌遺伝子治療の基礎的研究 -HVJ envolope法によるTCF docoyを用いた癌の遺伝子治療-
Project/Area Number |
14657283
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中森 正二 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (70294080)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 浩文 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (30322184)
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Keywords | TCF decoy / Wnt signal / β-catenin / 大腸癌 |
Research Abstract |
(目的) 大腸癌をはじめとするヒトの癌では,APC遺伝子の異常、あるいは,β-catenin変異が起きると,β-cateninの細胞内蓄積が起き、転写因子TCFとの複合体を形成する。β-cateninによって活性化を受けたTCFは各種遺伝子promoterのTCF responseelementへ結合し転写を亢進させる。興味深いことに,TCFの標的遺伝子であるc-myc,cyclin D1,PPAR-delta,MMP-7などは,癌の発生,進展に重要な役割をもつとされるものであり,β-cateninの蓄積はこれら癌関連遺伝子の発現亢進のために共通のメカニズムとなっていることが明らかとなってきた。本研究ではWnt signal活性化のkeyとなる転写因子TCFに対する'TCF decoy'を作製し,下流遺伝子の転写の活性化を阻止する。 (研究予定と結果) (1)HEK293細胞に、beta-catenin遺伝子を導入したTCF活性化モデルを作製した。TCF binding element配列情報をもとに、長さの異なるTCF decoyを設計し,TCF活性を抑制するものをscreeningし,18merが最適とわかった。 (2)FITC標識decoyは,約6時間でほぼ全ての細胞の核に効率よく導入され,72時間まで細胞内に留まった。 (3)癌細胞についても、TCF decoy 18merを用いて同様の事象を検討した。面白いことに,HEK 293細胞ではTCF活性が減少してもほとんど細胞増殖抑制効果はみられなかったが,HCT116大腸癌細胞では約50%の増殖抑制効果がみられた。他に複数の消化器癌細胞を用いて、同様の結果を得た。
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Research Products
(1 results)