2002 Fiscal Year Annual Research Report
Cyclic strainに対する大動脈瘤壁刺激応答機序の解明と瘤退縮療法の開発
Project/Area Number |
14657284
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
吉村 耕一 山口大学, 医学部, 寄附講座教員 (00322248)
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Keywords | 大動脈瘤 / JNK / MMP |
Research Abstract |
[研究の目的]大動脈瘤は、破裂すると予後不良な臨床上重要な疾患である。その病態を解明し、より理想的な治療法を開発することが必要である。本研究は、細胞内あるいは細胞間情報伝達系を介した異常Cyclic strain刺激応答機序を解明し、さらに大動脈瘤退縮療法の開発をめざすものである。最近我々は、ヒト大動脈瘤壁において細胞内情報伝達経路の一つであるc-Jun N-terminal kinase (JNK)が顕著に活性化していることを見い出した(未発表、平成12.13年度奨励研究(A)12770651)。また、Cyclic strain負荷により培養VSMCのJNKが活性化されるとの報告がすでにあるため(Li et al. J Biol Chem,1999)、初年度はJNKにより制御される血管壁細胞の刺激応答機序を解明することを課題とした。 [方法]実験系として、血管平滑筋細胞(VSMC)と炎症細胞(マクロファージ)の培養細胞を用いた。JNKの活性型変異体あるいは抑制型変異体をアデノウイルスベクターにより遺伝子導入し、細胞内JNKの活性を操作した後、培養上清のMatrix metalloproteinase(MMP)をザイモグラフィーにて検出した。 [結果]VSMCとマクロファージのどちらの実験系においても、JNKを特異的に抑制することによってMMP-9の分泌が顕著に抑制された。 {まとめ}MMP-9は、大動脈壁の細胞外基質を分解する酵素で動脈瘤形成に必須と考えられている(Pyo et al. J Clin Invest,2000)。我々は、血管壁細胞由来のMMP-9分泌がJNKによって制御されていることを見い出した。JNK抑制による大動脈瘤治療の可能性が示唆された。
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