2004 Fiscal Year Annual Research Report
新しく開発したコラーゲンゲル法を用いたアポトーシスによる抗癌剤感受性試験の試み
Project/Area Number |
14657304
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
川口 順敬 岐阜大学, 医学部附属病院, 講師 (50252135)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉山 保幸 岐阜大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (90211309)
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Keywords | apoptosis / 抗癌剤感受性試験 / p53遺伝子 |
Research Abstract |
消化器癌の抗癌剤治療において、5FU, CDDPは有効な薬剤であり、さらにこれらを併用投与(low dose FP)することにより、相乗効果が期待されることが報告されている。一方抗癌剤が効果を発揮しない場合も多く、臨床上問題になっている。また抗腫瘍効果がDNA阻害のみでなく、apoptosis誘導によっても発揮されることが明らかになってきた。そこで5FU, CDDP, low dose FP等を濃度別にヒト胃癌細胞株、ヒト大腸癌細胞株に添加した場合のapoptosis誘導を観察したところ、各標的細胞のp53遺伝子発現様式との間に関連が示唆された。ヒト胃癌細胞株MKN45(p53 wild type)、MKN28(p53 mutant type)、ヒト大腸癌細胞株HCT116(p53 wild type)、SW480(p53 mutant type)を多種濃度の5FU単独,CDDP単独,或いは両者の混合液中で培養し、flow cytometoryにてDNA contentを測定した。この細胞を同条件でコラーゲンゲル培養し、相対する各細胞を詳細に比較観察し、alive, apoptosis, necrosis及び分類不能型の4形態に亜分類した。ヒト胃癌細胞株MKN45は、5FU及びCDDPの低用量単独投与時にはapoptosisの誘導はみられなかったが、低用量でも両者併用投与群は有意のapoptosis誘導が観察された。一方、MKN28は5FU及びCDDPの単独或いは低用量併用の何れでもapoptosisの誘導は軽度であった。ヒト大腸癌細胞株HCT116は、5FU, CDDPの単独投与と比べ、低用量でも併用投与群でapoptosisの誘導が有意に増加した。一方、SW480は5FU及びCDDPの単独或いは低用量併用の何れでもapoptosisの誘導は認められなかった。ヒト胃癌及び大腸癌細胞株のどちらにおいても、p53遺伝子がwild typeである場合にlow dose FP投与でapoptosisが有意に誘導された。この結果をふまえ、正常なp53をp53 mutant type細胞株MKN28にtransfectし、5FU, CDDPの併用投与でapoptosisを誘導するが観察した。human p53の決定された構造を含んだplasmid DNAまたはvector単独をLipofectamineとPlus reagentを使用してMKN28に導入した後、MKN28,vector+MKN28,p53transfected MKN28それぞれに5FU, CDDPの併用投与を行った。FACS解析結果で,subG1のDNA contentは、それぞれ1.3%,5.7%,13.5%と有意にp53をtransfectしたMKN28で上昇し,apoptosisが有意に誘導された。この結果より、5FU, CDDPの併用療法が効果を発揮する際には、p53が大きく関与していることが示された。その経路として1)p53関連遺伝子であるBaxを活性化しapoptosisを誘導する経路,2)Fas, TRID, DR4, Killer/DR5がreceptorとしてcaspase8,3を活性化する経路が存在し、p53が存在するとcaspase8からBidを活性化しapoptosisを誘導する経路が存在することが推察された。p53が変異するとcaspase8を誘導せずcaspase3を活性化するのみであることが示唆された。
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Research Products
(2 results)