2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14657311
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
高木 都 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (00033358)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 祥介 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (00142381)
三澤 裕美 奈良県立医科大学, 医学部, 教務職員 (50281275)
竹中 千香子 奈良県立医科大学, 医学部, 助手 (50336848)
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Keywords | embryonic Stem Cell / カハールの間質細胞 / 蠕動様運動 / Caオッシレーション / ペースメーカー電位 / L-型Caチャネル / T-型Caチャネル / リアノジン変容体 |
Research Abstract |
胚性幹(ES)細胞から胚様体を形成させた後、ES用の培地で付着培養を行った。21日目には、蠕動様の動きをするドーム状の細胞塊ができた。しかし、それ以外にもドーム状まではならない細胞塊やシート状の細胞塊もできた。このように分化誘導因子を加えず培養するとES細胞本来の性質に由来する多能性を発揮する。そこでまず、長く伸びる腸管を作る前にもっと、その多能性について基礎研究を行い蠕動様の動きをするドーム状の細胞塊ができるに至った過程を詳細に検討することを試みた。アプローチの方法は1)まずビデオカメラで顕微鏡下に様々なES細胞塊の動きの記録。2)ついで主にドーム状の細胞塊の細胞内電位の記録。3)ドーム状の細胞塊の固定後、ACK2による免疫染色と電子顕微鏡による観察。4)様々な形態をとるES細胞塊にFluo-3をロードし、Caオッシレーションの測定。その結果、1)ES細胞塊は蠕動様の運動を示す物のみならず、振子運動や微弱な運動しか示さないものなど様々であった。2)プラトー相を有するペースメーカー電位様の膜電位変化を世界で初めてドーム状の細胞塊で記録できた。しかし、平滑筋細胞のslow waveの記録の方が数多くできた。一つの細胞から2つの異なったサイクルのペースメーカー電位様の膜電位変化が得られた。また、slow waveの頻数もばらつきを示した。3)ペースメーカー細胞様細胞の分化が免疫染色と超微細構造の特徴から確認できた。4)ドーム状まではならない細胞塊でCaオッシレーションを記録できた。細胞塊全体にほぼ広がるような強力なCaオッシレーションでnifedipineでも多くの場合抑制されず、Niで抑制された。またryanodineではほとんどのCaオッシレーションが抑制された。これらの結果から、ES細胞は何らかの分化誘導因子を使って分化をコントロールしなければ長く伸びる腸管をつくるのは難しいという認識を得た。
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