2003 Fiscal Year Annual Research Report
定常流補助人工心臓のモータ電流を生体情報センサとして応用した自己心機能評価法
Project/Area Number |
14657330
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
妙中 義之 国立循環器病センター研究所, 人工臓器部, 部長 (00142183)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
築谷 朋典 国立循環器病センター研究所, 人工臓器部, 室員 (00311449)
武輪 能明 国立循環器病センター研究所, 人工臓器部, 室長 (20332405)
巽 英介 国立循環器病センター研究所, 人工臓器部, 室長 (00216996)
本間 章彦 国立循環器病センター研究所, 人工臓器部, 室員 (20287428)
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Keywords | 定常流補助人工心臓 / 生体情報 / 心機能評価 / モータ電流波形 |
Research Abstract |
定常流補助人工心臓の長期使用を目指し、特殊なセンサを排除し、血液ポンプのモータ電流の変化をバイオシグナルとして解析し、モータ自体によるセンサ応用の可能性について検討中である。現在までの検討にて、モータ電流の解析により、定常流補助人工心臓の補助状態を推定可能であることを利用して、大動脈弁を通らず、補助人工心臓経由にて血液を駆出するようになる完全補助移行点でのポンプ回転数とモータ電流振幅の比較から自己心機能の回復の評価への可能性を示した。本研究では、新しい自己心機能評価法として、定常流補助人工心臓のモータ電流解析法を応用するために、模擬回路試験と動物実験による検討を行った。模擬回路試験では、2つのリザーバ(体循環血管床,左心房に相当)、空気駆動拍動流ポンプ(自然心左室)、定常流ポンプによる閉鎖式回路を使用し、心機能の三要素(後負荷、前負荷、心収縮力)をそれぞれ変化させ、ポンプ回転数を0〜2500rpmまで変えて、血行動態パラメータおよびモータ電流をモニタし検討した。動物実験では、成山羊を用い七、左心室心尖脱血,下行大動脈送血による定常流左心バイパスモデルを作製し検討を行った。パラメータとして動脈圧、左心室圧、上行大動脈流量、ポンプ補助流量をモニタし、ポンプ回転数を2000〜3100rpmまで変化させて、モータ電流の振幅変化と各種血行動態パラメータとの関係を検討した。われわれの電流振幅指数(ICA)法は、モータ電流波形の振幅の変化を明確にするために、電流振幅をその平均値で除して算出する簡易な手法である。模擬循環回路試験では、後負荷増加でICAの最大値が増加し、心収縮力増加でICAが最大となる回転数が増加、前負荷変化ではいずれも変化しないことにより、心機能三要素の変化を判別することが可能であった。動物実験では、定常流補助人工心臓のポンプ回転数に対する左心室内圧の変化とモータ電流ICA値の変化との間に高い相関を認められ、また、術後の全身状態の変化に伴う左心機能変化により、ICA値も変化することが認められた。本研究により、定常流補助人工心臓装着患者において、特殊なセンサを使用せずにモータ電流をバイオシグナルとして解析することによって、自己心機能の評価法としての可能性が示された。
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