2002 Fiscal Year Annual Research Report
ニューロトロフィン受容体p75を介した神経再生阻害作用のメカニズムの解析
Project/Area Number |
14657343
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山下 俊英 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (10301269)
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Keywords | 神経再生 / ニューロトロフィン / ミエリン / 分子生物学 |
Research Abstract |
中枢神経を取りまくミエリンの中に存在している神経再生阻害蛋白としてMyelin-associated glyc oprotein(MAG)、Nogo、Oligodendrocyte myelin glycoprotein(OMgp)が同定されている。これらはニューロトロフィン受容体p75を介してsmall GTPaseであるRhoを活性化し、神経突起の伸展を抑制することが、我々および他のグループの研究で明らかになった。中枢神経の再生を目指した治療を考える場合、ニューロトロフィン受容体p75に焦点を絞ることで最も高い効果が期待される。本研究ではニューロトロフィン受容体p75の機能を阻害した動物における神経再生の動態を検討し、p75の機能を阻害することで中枢神経が再生するという仮説を検証した。 p75ノックアウトマウス由来の神経細胞が上記の阻害物質に対しどのような反応を示すかについてin vitroで検討した。生後7日より9日目のマウスの後根神経節および小脳の神経細胞を培養し、それに抑制基質となるミエリン、HAG、Nogoを加えた。これらの物質はワイルドタイプ由来の神経細胞では神経突起の退縮を引き起こすが、その効果はp75ノックアウトマウス由来の神経細胞では認められなかった。さらにp75の機能をin vitroで阻害するために、p75の細胞外ドメインに対する抗体を用い、MAGおよびNogoの効果をみた。この抗体はp75による再生阻害作用をほぼ完全に阻止した(投稿中)。さらにこの抗体を脊髄損傷させたラットに局所投与し、軸索再生が起こるか、機能的な回復がおこるかという課題について検討を加えている。
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