2002 Fiscal Year Annual Research Report
悪性脳腫瘍特異的発現遺伝子(MAGE-E1)と同膜抗原(ONS-M21)の関連
Project/Area Number |
14657346
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Research Institution | Kochi Medical School |
Principal Investigator |
清水 惠司 高知医科大学, 医学部, 教授 (50162699)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池中 一裕 岡崎国立共同研究機構, 生理学研究所, 教授 (00144527)
中林 博道 高知医科大学, 医学部, 助手 (70346716)
朴 啓彰 高知医科大学, 医学部附属病院, 講師 (60333514)
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Keywords | 脳腫瘍 / グリオブラストーマ / モノクローナル抗体 / ONS-M21 / MAGE-El / integrin α3 / 主要組織適合遺伝子複合体 / MHC |
Research Abstract |
原発性脳腫瘍の約10%を占める悪性グリオーマの平均余命は一年から一年半で、既存の治療法を試みる限り飛躍的な治療効果は期待できない。脳には血液脳関門が存在し大半の制癌剤が脳実質内に到達しないことと、リンパ組織が存在しないという他臓器に無い特殊構造から、グリオーマの病態解析や治療に確立したプロトコールは存在しない現状である。本研究では、我々が樹立したマウスモノクローナル抗体(ONS-M21)(Br J Cancer 68,1993)が認識するグリオーマの膜抗原と、悪性グリオーマ普遍発現遺伝子(MAGE-E1)(Cancer Res 61,2001)増幅の相関について検討した。この新規遺伝子をクローニングすると共に、選択的スプライス産物と考えられる3種類の転写産物を同定した(MAGE-Ela, Elb, Elc)。この3種類の転写産物の中で、MAGE-Elcは様々な癌種に認めたが、他の2産物はグリオーマに特異的に発現していた。このMAGE-El遺伝子は、他のMAGEファミリーと異なり正常組織では脳と卵巣にのみ発現していた。一方、ONS-M21抗体に関してはヒト型化や単鎖抗体の作製にも成功しており(Mol lmmunol 32,1995、Anticancer Res 18,1998)、しかもONS-M21抗体が認識するグリオーマ関連抗原はintegrin α3であることも同定している(Br J Cancer 79,1999)。正常ではほとんど脳実質内に発現していないintegrin α3が、腫瘍化することで脳内に発現するメカニズムの解明と、MAGE-El遺伝子増幅との相関について研究中である。そして、これらの発現・増幅とグリオーマ患者の生存期間との相関についても検索中である。更に、グリオーマ患者の主要組織適合遺伝子複合体(MHC)とMAGE-El遺伝子発現の相関についても研究中である。本研究を発展させることで、グリオーマ特異的遺伝子治療ベクターの開発、各種ワクチン療法の基礎的データーの蓄積および免疫複合体によるターゲティング療法の基礎的探究が可能となる。MAGE-El遺伝子の発現・増幅およびグリオーマ患者のMHC解析の遂行には、「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針」に従い、患者本人の同意を得た上で実施している。
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Research Products
(1 results)