2002 Fiscal Year Annual Research Report
正常ヒト神経幹細胞由来神経細胞における、低酸素状態下での遺伝子制御システムの解明
Project/Area Number |
14657352
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
金村 米博 独立行政法人産業技術総合研究所, ティッシュエンジニアリング研究センター, 研究員 (80344175)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原 正之 大阪府立大学, 先端科学研究所・応用生体科学部門・人口生体組織研究分野, 教授 (50344172)
中村 徳幸 独立行政法人産業技術総合研究所, ティッシュエンジニアリング研究センター, チームリーダー (20198229)
三宅 正人 独立行政法人産業技術総合研究所, ティッシュエンジニアリング研究センター, チームリーダー (60344173)
田村 和義 兵庫医科大学, 脳神経外科, 講師 (40340971)
有田 憲生 兵庫医科大学, 脳神経外科, 教授 (80159508)
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Keywords | 神経幹細胞 / 神経前駆細胞 / ヒト細胞 / 多分化能 / 細胞倍加速度 / レチノイン酸 / BDNF |
Research Abstract |
今年度は、本研究開発で使用する培養ヒト神経細胞のソースとなる培養ヒト神経幹細胞/前駆細胞の生物学的特性と、そこからのヒト神経細胞の分化誘導法の開発、および分化誘導されたヒト神経細胞の生物学的特性について検討した。 1、培養ヒト神経幹細胞/前駆細胞の増殖率、分化率を約1年間におよぶ長期培養期間中を通じて、継続的に評価した。その結果、ヒト神経幹細胞/前駆細胞は、最速で80時間程度の細胞倍加速度で分裂することが判明し、理論値で100日間で少なくとも20回程度の細胞分裂を行い、約100万倍まで増殖する潜在性を有することを明らかにした。また約250日間の培養期間中、1%FBSを分化誘導因子として使用してヒト神経幹細胞/前駆細胞からの神経細胞の分化誘導率を検討した。その結果、ヒト神経幹細胞/前駆細胞からの神経細胞の分化誘導率は約20%程度でほぼ一定であり、長期培養でも多分化能に大きな変化がないことが判明した(J Neurosci Res 69,869-879,2002)。 2、培養ヒト神経幹細胞/前駆細胞から1%FBSで分化誘導させたヒト神経細胞は、約90%の細胞がGABA作動性神経細胞であることが判明した。1%FBSの分化誘導効率を上げる方法として、All-trans retinoic acid (ATRA)と神経成長因子のBDNFの有効性の検討を実施した。培養ヒト神経幹細胞/前駆細胞からの神経細胞の分化誘導効率はATRAの添加によって約30%に有意に上昇した。また作成された神経細胞は、ATRA未使用時と同様に殆どがGABA作動性神経細胞であった。ATRAとBDNFを連続して使用した分化誘導法の検討では、ATRA単独使用時と神経細胞の分化誘導効率に大きな変化はなかった(投稿準備中)。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Nakamura Y, Yamamoto M, Oda E, Yamamoto A, Kanemura Y, Hara M, Suzuki A, Yamasaki M, Okano H.: "Expression of tubulin beta II in neural stem/progenitor cells and radial fibers during human fetal brain development"Laboratory Investigation. (In press). (2003)
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[Publications] Kanemura Y, Mori H, Kobayashi K, Islam O, Kodama E, Yamamoto A, Nakanishi Y, Arita N, Yamasaki M, Okano H, Hara H, Miyake J: "Evaluation of in vitro proliferative activity of human fetal neural stem/progenitor ells using indirect measurements of viable cells based on cellular metabolic activity"Journal of Neuroscience Research. 69. 869-879 (2002)
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[Publications] Mori K, Kanemura Y, Fujikawa H, Nakano A, Ikemoto H, Ozaki I, Matsumoto T, Tamura K, Yokota M, Arita N.: "Brain-specific angiogenesis inhibitor 1(BAI1) is expressed in human cerebral neuronal cells"Neuroscience Research. 43. 69-74 (2002)
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[Publications] 金村米博: "再生医療-胎児組織を用いた研究開発の現状と論理的問題点-"治療. 85. 551-553 (2003)
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[Publications] 金村米博, 山崎麻美: "ヒト神経幹細胞"医学の歩み. 201. 307-312 (2002)
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[Publications] 金村米博, 原正之, 岡野栄之: "神経幹細胞とその医用応用"生体材料. 20. 91-97 (2002)