2002 Fiscal Year Annual Research Report
横断性脊髄損傷の治療実験:硬膜切開による脊髄減圧と神経栄養因子遺伝子治療の試み
Project/Area Number |
14657376
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
河上 江美子 財団法人東京都医学研究機構, 東京都神経科学総合研究所, 研究員 (00301797)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
星地 亜都司 東京大学, 医学部, 講師 (70236066)
渡部 和彦 財団法人東京都医学研究機構, 東京都神経科学総合研究所, 副参事研究員 (30240477)
小柳 清光 財団法人東京都医学研究機構, 東京都神経科学総合研究所, 副参事研究員 (00134958)
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Keywords | 横断性脊髄損傷 / 神経栄養因子 / 遺伝子治療 / 脊髄減圧 / ラット / 修復 |
Research Abstract |
横断性脊髄損傷の修復を目指して、基盤となる下記の研究を行った。 (1)ラットにおける安定した横断性脊髄損傷の作成法の開発:(株)「ナリシゲ」の脊髄固定装置を用いてラットを固定し、中部胸椎(外耳口から尾側に6.5cm)を椎弓切除する。定位脳注入端子の先端に厚さ0.7mm、幅2mmの金属片を固定し、脊髄硬膜の背側表面から腹側に4mm進入させ(15秒かけて)20分間圧迫することにより、安定した横断性脊髄損傷を作成し得た。この受傷後、ラットは完全な下肢麻痺となった。一定時間後のエバンスブルーの静脈内投予後剖検することにより、脊髄の傷害範囲を明瞭に確認しえた。 (2)脊髄減圧の有無と範囲による損傷範囲の大小に関する観察:(1)硬膜切開をせず、椎弓を吻尾方向に1mmだけ切除してこの部に上記金属片を進入させて脊髄損傷を作る群(脊髄減圧をしない群)(2)硬膜切開をせず、椎弓を吻尾方向に1.5cm切除し、脊髄損傷を作成した群(椎弓切除減圧群)(3)硬膜切開と椎弓切除を吻尾方向に1.5cmの範囲で行ない、脊髄損傷を作成した群(椎弓切除-硬膜切開減圧群)で傷害部位の範囲を解析中である。これらの実験群での脊髄内圧の計測は、そのプローブのサイズ、装着部位の問題から極めて難事であることが判明した。解決法を模索中である。 (3)脊髄損傷病変に対する神経栄養因子遺伝子組み換えウイルスの開発:今年度、トランスフォーミング増殖因子(TGF)β2および神経成長抑制因子(GIF, MT-III)の組み換えウイルスを開発し、その生物活性を確認した。これらと、われわれが過去に開発し他の修復実験に使用しているグリア細胞株由来神経栄養因子(GDNF)、脳由来神経栄養因子(BDNF)と併せ、脊髄損傷に対する治療効果を検討中である。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Sakamoto T, et al.: "Adenoviral gene transfer of GDNF, BDNF, and TGFβ2,but not CNTF, cardiotrophin-1 or IGF1,protects injured adult motoneurons after facial nerve avulsion"Journal for Neuroscience Research. (in press). (2003)