2003 Fiscal Year Annual Research Report
意識レベルと上気道防御反射との相互作用―残存麻酔薬がこれらに及ぼす影響
Project/Area Number |
14657382
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
田中 敦子 千葉大学, 大学院・医学研究院, 助手 (40302559)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
磯野 史朗 千葉大学, 医学部付属病院, 講師 (80212968)
西野 卓 千葉大学, 大学院・医学研究院, 教授 (80009703)
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Keywords | 喉頭 / 喉頭抵抗 / 喉頭反射 / 上気道防御反射 / 全身麻酔 / 反回神経麻痺 |
Research Abstract |
昨年度,われわれは全身麻酔下での喉頭の圧-流量関係はわれわれが作成したモデルを用いることにより評価できること、また気管挿管により喉頭の浮腫が生じ喉頭抵抗が増大することを報告した(Anesthesiology 99:252-8,2003)。今年度われわれは術前より反回神経麻痺を生じている患者では気管チューブ抜去後しばしば気道閉塞を生じるが、反回神経麻痺患者の術前での喉頭抵抗を測定することにより、手術後の呼吸状態を予測できるかどうかについて検討した。反回神経麻痺患者でも全身麻酔中の喉頭抵抗はさまざまであったが、術前より喉頭抵抗の高い患者において抜管後気道閉塞を生じやすい結果が得られた。いずれの患者も覚醒時には呼吸困難感はなかったため、覚醒時には対側の声帯の開大により代償されていることが予想された。全身麻酔はこの代償機能を抑制するため、患側の喉頭の状態がより明確に評価できたと考えられる。術後は気管内チューブによる喉頭浮腫や残存麻酔薬による喉頭開大反射の抑制が生じるため、術前よりすでに高い喉頭抵抗のある患者では術後の抵抗増加により代償不能となり気管切開や再挿管が必票となるものと考えられる。よって術前全身麻酔下での喉頭での圧-流量関係を測定することにより術後の気道閉塞の有無を予測できる可能性を示唆した(第50回日本麻酔科学会総会にて発表)。 また術前後の喉頭防御反射を術中気管内挿管で気道確保した患者とラリンゲルマスクで確保した患者において1MACのセボフルラン麻酔下にて比較検討を行ったが、その結果どちらの気道確保法においても術後喉頭防御反射特に咳反射が減弱していることが明らかになった(現在Anesthesiologyに投稿中)。われわれが研究に用いたレベルの麻酔深度では声帯の開大作用を抑制し、また喉頭での気道防御反射を抑制することが明らかになった。
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