2004 Fiscal Year Annual Research Report
麻酔による睡眠障害に関する生理学的および分子生物学的研究・・・周術期合併症の軽減とQuality of Anesthesiaの向上をめざして・・・
Project/Area Number |
14657387
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
竹之下 眞 滋賀医科大学, 医学部, 助教授 (00144486)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
BELLIER Jean-Pierre 滋賀医科大学, 分子神経科学研究センター, 助手 (80346022)
西村 信哉 大阪大学, 医学部附属病院, 助手 (00263286)
江口 直美 大阪バイオサイエンス研究所, 第2研究部, 副部長 (10250086)
裏出 良博 大阪バイオサイエンス研究所, 第2研究部, 部長 (10201360)
野坂 修一 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (80237833)
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Keywords | 睡眠 / 麻酔 / 脳波 / ラット / セボフルラン |
Research Abstract |
7〜8週齢メス正常ラット(約250〜300g)を用いて、pentobarbital麻酔下に双極電極を脳表面に、筋電極を筋肉内に固定し無線にて脳波および筋電図の記録をおこなった。従来のラットやマウスを用いた脳波研究では有線電極を使用しており、電極自体が個体におよぼすストレス等の影響を考慮する必要があり、また、長時間の記録は困難であった。本研究では無線送信器を使用することにより1週間以上の連続記録が可能となった。 送信器を装着したラットに対し暗期に100%酸素を投与しながら0.5、1.0、1.5MAC (minimum alveolar concentration)相当のセボフルランを自発呼吸下に1時間投与後、麻酔薬投与中および投与中止後1週間の脳波、筋電図を記録した。この脳波、筋電図を用いて24時間毎に睡眠覚醒時間を解析した。また、麻酔薬投与前4日間の平均値を暗期、明期におけるラットの睡眠覚醒時間のコントロールとした。 0.5MACセボフルラン投与群では暗期における覚醒時間はコントロールの50%に比べ麻酔後は19〜37%と短い傾向にあり麻酔後7日めでも25%と改善はみられなかった。REM睡眠の割合はコントロール(11%)に比べ24%〜38%と長くなる傾向にあった。Non-REM睡眠に関してはコントロール(39%)と比べやや長くなった(39〜54%)が一定の傾向はなかった。明期における覚醒時間はコントロール(39%)に対し5〜19%と短い傾向にあり麻酔後7日めでも8%であった。REM睡眠の割合はコントロール(8%)に対し麻酔後3日め(39%)まで徐々に長くなり、以後、短くなる傾向にあったが7日めでも31%であった。Non-REM睡眠はコントロール(53%)に比べやや長くなった(54〜72%)が一定の傾向はみられなかった。以上より暗期、明期ともに睡眠時間は長くなり、麻酔薬はREM睡眠に対しなんらかの影響をおよぼすと考えられる。麻酔後7日間経過した後もその影響が続く可能性があり、今後さらにデータの解析、検討をおこなっていく。
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