2003 Fiscal Year Annual Research Report
難聴遺伝子解析及び人工内耳術中EP測定による内耳障害部位の解明
Project/Area Number |
14657430
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小林 俊光 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (80133958)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 尚弘 東北大学, 医学部附属病院, 助手 (90291260)
千葉 敏彦 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (70280881)
川瀬 哲明 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (50169728)
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Keywords | 高度感音性難聴 / 人工内耳 / 内リンパ直流電位(EP) / 内耳障害 / 内耳機能検査 |
Research Abstract |
人工内耳埋め込みの対象となるのは主として内耳障害による高度感音性難聴であるが、現状ではその障害部位を術前に特定する機能検査はなく、原因を鑑別するのは困難である。我が施設では平成13年10月から人工内耳埋め込み術を12例12耳に対して行ってきた。そのうち2耳に対して東北大学医学部倫理委員会の承認と十分なインフォームドコンセントのもと、術中電極挿入前に蝸牛岬角上の中央階相当部に小孔を開け、ガラス管電極を挿入して内リンパ直流電位(EP)を世界で初めて測定し、内耳障害の原因解析を試みた。症例1は昨年度の研究実績報告に記載したとおりで、20歳女性で術前聴力は100dB以上の高度難聴であったが、EPを測定したところ+18mVであった。症例2は平成15年11月に測定したもので、4歳女性で術前聴力は100dB以上の高度難聴であったが、EPは+40mVとある程度の内リンパ電位を保っており、高度難聴にも関らず内耳機能が部分的に残存した症例であった。EP低下はその生成源である血管条や蝸牛内K+循環の障害を示唆するが、高度難聴にも関わらずEPが比較的保たれている場合には有毛細胞障害や蝸牛神経レベルでの障害が優位であることが示唆された。 今後の課題として、ダブルバレルのガラス電極を用いて内リンパ電位の測定と同時に内リンパ内のKイオン濃度を測定し、内リンパKイオン濃度とEPの相関をみることを考えている。またEP測定以外にCMやCAPなどの内耳電位を同時に測定し、更に難聴遺伝子検索も行うことによってより詳細な難聴責任部位の追求を行うことが必要であると考える。更に症例数を重ねて検討する必要があるが、高度難聴耳におけるEP測定は内耳病態を検索するうえで有用な手法であると考えられた。
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