2002 Fiscal Year Annual Research Report
網膜移植再生医療に向けた形質転換現象による新しい神経幹細胞発樹立に関する研究
Project/Area Number |
14657447
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
谷原 秀信 熊本大学, 医学部, 教授 (60217148)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福島 美紀子 熊本大学, 医学部付属病院, 助手 (10284770)
木村 章 熊本大学, 医学部付属病院, 講師 (20284771)
平田 憲 熊本大学, 医学部付属病院, 講師 (60295144)
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Keywords | 網膜移植 / 再生医療 / 神経幹細胞 |
Research Abstract |
自家神経幹細胞の単離培養および自家神経幹細胞の眼内移植による網膜再生の評価 自家神経幹細胞移植の臨床応用に向けての基礎的解析を行い興味深い知見を得た。まず第一に、NMDA障害モデルラット眼にマウス胎児脳由来神経幹細胞を移植し、移植細胞が1ヶ月以上の長期に渡り、網膜内に生着することを証明した。第二に、単離した神経幹細胞が、網膜内に移植された場合に、移植操作により細胞系譜が神経細胞以外に誘導される可能性がある。そこで移植された細胞の系譜を特異的マーカーを用いて経時的に解析したところ、移植細胞は移植後早期には網膜内にニューロンとして生存しうるが、時間経過とともにグリア細胞が増加することが明らかとなった。また移植された網膜のミューラーグリアは長期にGFAP、nestin陽性のreactive gliaの反応を示し、移植部位のみならず網膜全体にこれらの変化が認められたことから、ごく少数の細胞を移植することでも網膜内の環境変化が生じうることが示唆された。第二に、移植細胞にアデノウィルスベクターを用いて遺伝子導入しその細胞系譜を人為的に誘導しうることを明らかにした。神経栄養因子やサイトカイン存在下での細胞系譜の解析を行ない、ex vivoにおける移植細胞の増殖、分化に関する新たな知見を得た。第四に、自家網膜幹細胞の確立に向けてその候補である、色素上皮細胞、ミューラーグリアの単離およびサイトカイン、増殖因子の増殖、分化に関する効果をin vivo、in vitroで解析した。ミューラーグリアが刺激によりGFAP陽性のreactive gliaに変化する際に未分化な神経のマーカーであるnestinが陽性になることを見い出し、これに関わる転写因子の解析を行なった。また網膜色素上皮細胞株についての解析もおこなっており、今後神経誘導因子を導入する予定である。このように本研究計画で必要とされる基盤研究は、十分な成果を得ている。そこでこれらの知見を応用すべく、今後、霊長類を含め、動物眼の自家神経幹細胞を移植した場合に同様の変化が生じるかどうかの解析を進める予定である。 骨髄由来幹細胞の網膜内移植 GFPマウス由来の骨髄幹細胞を、10Gyの放射線を照射し、骨髄を破壊したアダルトマウスに静注し、キメラマウスを作製し、移植されたGFPマウス由来の骨髄幹細胞の網膜内への生着、分化について検討した。免疫組織学的解析で、移植された細胞はストロサイト、未熟な神経細胞、網膜神経細胞へと分解していることが示唆された。この手法は、幹細胞移植法の新たな治療戦略として有用であると考えられ、上記の結果とあわせ、今後網膜再生への具体的戦略を確立していく予定である。
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