2003 Fiscal Year Annual Research Report
神経系幹細胞の担体としてのアルギン酸の評価・改良及び損瘍脊髄の再生の研究
Project/Area Number |
14657458
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
鈴木 義久 京都大学, 医学研究科, 助教授 (30243025)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片岡 和哉 京都大学, 医学研究科, 助手 (10314189)
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Keywords | 分子材料 / 神経 / 再生 / 軸索 / 成長因子 |
Research Abstract |
目的:われわれは近年骨髄間質細胞を脊髄損傷部へ局所注入することで損傷時の空洞形成が抑制されることを報告してきた。一方、神経幹細胞を第4脳室へ注入すると脊髄損傷部へ移植されることを報告してきた。本研究では、骨髄間質細胞を第4脳室へ注入してラットの脊髄損傷に対する細胞の効果を観察した。 方法:ラットの脊髄T8-9レベルに挫滅損傷を与え、レトロウィルスを用いてGFPでラベルした骨髄間質細胞を第4脳室へ投与した。投与後5週間行動の回復を観察した後還流固定し組織学的に評価した。また、骨髄間質細胞を移植したラットの脳脊髄液を2日後に採取し、これをラット海馬および脊髄より分離したneurosphereに加えて観察した。 結果:行動の回復はBBBスコアーで評価したところ、細胞移植群は非移植群と比べ、有意に行動が回復していた。細胞投与後5週間目に脊髄に形成された空洞の体積を計測したところ、細胞移植群は有意に空洞の体積が小さかった。投与した骨髄間質細胞は脊髄損傷部に1-2週間残存するが、時間と共に減少し3週間以上残存するものはなかった。骨髄間質細胞投与ラットから採取した脳脊髄液を添加したneurosphereは培養皿に接着し突起を伸ばしていた。 結論:骨髄間質細胞投与ラットの脳脊髄液には損傷を修復させる働きのある何らかの物質が含まれている可能性が示唆された。また、脳脊髄液に投与された骨髄間質細胞は脊髄損傷部に移動し組織の修復に関与するが3週間以上の長期間は生存せず死滅すると考えられる。本治療法は簡便である上、移植細胞が腫瘍等になる心配もない理想的な治療法と思われる。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Hashimoto, T.: "Development of alginate wound dressings linked with hybrid peptides derived from laminine and elastin."Biomaterials. 25. 1407-1414 (2004)
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[Publications] Bai, H.: "Dissemination and proliferation of neural stem cells on the spinal cord by injection into the fourth ventricle of the rat."Journal of Neuroscience method. 124. 181-187 (2003)