2002 Fiscal Year Annual Research Report
オピオイドシグナル応答性アポトーシスの癌治療への応用
Project/Area Number |
14657481
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Research Institution | Osaka Dental University |
Principal Investigator |
東 泰孝 大阪歯科大学, 歯学部, 助手 (50298816)
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Keywords | エンドモルフィン / オピオイドペプチド / 白血病 / 抗癌剤 / 15-deoxy-Δ^<12,14>-prostaglandin J_2 / PPARγ |
Research Abstract |
平成14年度は、オピオイドペプチドであるエンドモルフィン-1および-2を用いて、ヒト急性単球型白血病細胞THP-1の増殖能に対する影響について検討を行った。エンドモルフィン-1および-2は、反応48時間後におけるTHP-1増殖能をいずれも抑制したが、この抑制効果は反応72時間後には観察されなかった。次に、各種抗癌剤を用いた結果、5-フルオロウラシル(5FU)およびピンクリスチン(VCR)はTHP-1増殖能を著明に抑制したのに対し、シクロホスファミドについては増殖能に著変を与えなかった。さらに、反応48時間後において、エンドモルフィン-1および-2はVCRによるTHP-1増殖能抑制をさらに抑制したが、72時間後の時点ではVCRによる増殖能抑制には影響を与えなかった。続いて、VCRの場合とは異なり5FUの場合には、反応後48および72時間のいずれにおいても、エンドモルフィン-1および-2は5FUによるTHP-1増殖能抑制に対して著変を与えなかった。上記成績により、エンドモルフィン-1および-2はヒト急性単球型白血病細胞であるTHP-1の増殖能を抑制する可能性が示唆される。さらに、本研究課題を発展させるために、脂質代謝だけでなく自然免疫機能においても重要な機能的役割を担っている Peroxisome proliferator activated receptor(PPAR)γの内在性アゴニストである15-deoxy-Δ^<12,14>-prostaglandin J_2(dPGJ_2)を用いて、THP-1の増殖能に対する影響についても検討を行った。その結果、興味深いことに、dPGJ_2は1、および5μMでは、THP-1の増殖能をさらに増強させることが明らかとなり、10μM以上の濃度では、THP-1の増殖能を抑制するという二層性の影響を示すことが明らかとなった。
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