Research Abstract |
セラミックス材料を被削材として用いクラウンを製作した場合には,切削加工ツールの十分な耐久性が得られていないのが現状である.そのため,海外で発表されている様々なセラミック加工用CAD/CAMシステムでは,最終焼成前のブロックを切削或いは研削し修復物の形状を作り上げてから最終焼成を行うものなどが殆どである.しかし,形状を作り上げた後に焼成を行うため,材料の収縮や結晶化状態のバラツキなど様々な問題がある.そこで我々は,従来と同様,切削加工により補綴物を製作できる材料として,リン酸カルシウム系のキャスタブルセラミック(クリセラ,九耐デントセラム)に注目し検討を行った.この材料は,臨床成績上非常に優れた耐久性を持つことが知られており,また,材料の機械的性質から見ても十分に切削加工を行うことは可能であると考えられる.しかし,当CAD/CAMシステムにて,現在,チタン加工に用いている加工ツールで,切削加工による臨床形態クラウンの連続加工を行ったところ,クラウンマージン部などにセラミックのチッピングが起こっている部分が多く見受けられ,その上,2冠目の加工が終わらないうちに修復物が割れてしまうことが分かった.そこで,これまでチタンブロックの加工に用いてきたZ種超硬合金製のツールとは別に,新たに非金属材料加工に適した更に硬いK種超硬合金製のツールを用意した.このツールを用いて連続加工を行ったところ,完成したクラウンそのものには,ほとんどチッピングが見られなかったが,やはり4冠以上連続しての加工はできなかった.それぞれのツールの刃先をSEM観察したところ,破折が起こった段階でZ種のものでは,磨耗による刃先の消耗が激しく切削性が低下していたが,K種のものでは刃先が大きく欠けてしまっている像が観察された.一般にK種はZ種に較べ硬い工具種であるが,その反面粒子が大きく刃面が割れ易いと云う欠点があり,刃に欠けが出来る前は良いが,一度欠けが出来ると脱落が大きいため,加工途中でセラミックが割れてしまうことが分かった.そこで,工具の耐久性をさらに追及するために,現在,超音波振動子を加工機に組み合わせたものを試作しているとともに,ダイヤモンドツールを用いた,研削加工についても検討を行っている.
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