2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14657522
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
由良 義明 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (00136277)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中澤 光博 大阪大学, 歯学部附属病院, 講師 (70217701)
墨 哲郎 大阪大学, 歯学部附属病院, 講師 (40252697)
岩井 聡一 大阪大学, 歯学部附属病院, 医員
網野 かよ子 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 助手 (50202700)
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Keywords | Wntシグナル / βカテニン / 唾液腺腫瘍 / 口腔癌 / 遺伝子変異 / Axin複合体 |
Research Abstract |
細胞接着を制御するβカテニンは、Wnt非存在下ではGSK-3βによりリン酸化され、ユビキチン化後にプロテオソームにて分解される。βカテニンのリン酸化に必要なAPC、Axinおよびβカテニン自身に遺伝子変異を生ずるとリン酸化が抑制され、βカテニン分解は抑制されて細胞内に蓄積することになる。この分解機構の破綻は細胞癌化の原因のひとつと考えられている。本研究は、唾液腺腫瘍を対象として、Wntシグナル系における遺伝子変異の検出を目的としているが、まず、報告のある口腔癌でのβカテニンの細胞内局在、遺伝子変化について検討を行った。4株の口腔扁平上皮癌細胞株と口腔扁平上皮癌の臨床標本20検体に対して、免疫組織化学染色にて検討した結果、細胞株の75%、臨床標本の90%でβカテニンの細胞質内蓄積が認められた。培養細胞を細胞質と膜分画に分けてイムノブロットで検討した結果でもβカテニンの局在の違いが確認された。βカテニン、APC、Axin遺伝子の変異を明らかにするため、報告されている変異のホットスポットを中心として、合計27領域を挟むプライマーを設定し、細胞株、臨床標本につきSSCPを行い、変異の可能性がある検体について、ダイレクトシーケンシングを行った。その結果、4検体で変異がみられたが、臨床標本1検体のみがAxin複合体の構造異常を伴うもので、他はイントロン内の変異やアミノ酸置換を伴わないものであった。今回の研究でも、過去の報告と同様に免疫組織化学染色レベルでは高頻度でβカテニンの細胞内蓄積がみられたが、遺伝子変異の頻度は低く、口腔癌におけるβカテニンの細胞質内蓄積には、Axin複合体遺伝子変異以外の機構が関与する可能性が高い。
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Research Products
(2 results)