2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14657522
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
由良 義明 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (00136277)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中澤 光博 大阪大学, 歯学部附属病院, 講師 (70217701)
墨 哲郎 大阪大学, 歯学部附属病院, 講師 (40252697)
岩井 聡一 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 助手 (10362675)
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Keywords | Wntシグナル / βカテニン / 遺伝子変異 / 口腔癌 / 唾液腺腫瘍 / Axin複合体 |
Research Abstract |
βカテニンは、Wnt非存在下ではリン酸化され、ユビキチン化後にプロテオソームにて分解される。βカテニンのリン酸化に必要なAPC、Axinおよびβカテニン自身に遺伝子変異を生ずるとリン酸化が抑制され、βカテニンは分解されずに細胞内に蓄積することになる。この分解機構の破綻は細胞癌化の原因のひとつと考えられている。1)口腔扁平上皮癌細胞におけるβカテニンの発現を免疫組織染色で観察すると、Ca9-22細胞では細胞膜のみが染色され、HSC、KB、SASでは細胞膜と細胞質が染色された。ウエスタンブロットでもβカテニンの局在が確認された。2)APC、βカテニン、Axinの遺伝子変異については、SASではAPC遺伝子、KB細胞ではAxin遺伝子で変異を認めたが、いずれもアミノ酸の置換を伴わなかった。また、HSC細胞ではAxin遺伝子でイントロンの変異を認めた。2)細胞質内βカテニン蓄積機構として、βカテニンのリン酸化過程に異常をきたしている可能性がある。プロテオソームを抑制するラクタシスチン存在下でのβカテニンのリン酸化につきリン酸化アミノ酸特異的抗体を用いて検討した結果、リン酸化βカテニン量は、細胞間で大きな差はみられなかった。HSC、KB、SASではリン酸化を受けないβカテニンが増加しているものと考えられた。3)変異型βカテニンをトランスフェクトしたCa9-22細胞では、βカテニンが過剰発現し、重層性の増殖を示し、細胞遊走能は亢進していた。ヌードマウスに移植した場合、腫瘍の形成がみられた。親株は重性増殖や造腫瘍性を示さなかった。4)唾液腺癌形成におけるWntシグナルの関与を明らかにするため、唾液腺由来の腺様嚢胞癌検体を用いてβカテニンの発現を検討した結果、βカテニンは主に細胞膜で検出され細胞質内蓄積はみられなかった。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Ogawa Y.et al.: "Adenoid cystic carcinoma associated with salivary duct in The sublingual gland : a case report"Journal of Oral Pathology and Medicine. in press.
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[Publications] 岩井聡一, 他: "口腔扁平上皮癌におけるbeta-cateninの局在とAxin複合体の遺伝子異常に関する検討"口腔組織培養学会誌. 12・1. 33-34 (2003)
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[Publications] Doi, T., et al.: "Induction of instability of p34^<cdc2> expression by treatment with cisplatin (CDDP) in mouse teratocarcinoma F9 cells"Cancer letters. 176・1. 75-80 (2002)
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[Publications] Shiojiri, T., et al.: "PPARγ ligands inhibit nitrotyrosine formation and inflammatory mediator expressions in adjuvant-induced rheumatoid arthritis mice"European Journal of Pharmacology. 448・2-3. 231-238 (2002)