2002 Fiscal Year Annual Research Report
口腔腫瘍の骨浸潤機構の解明と、その応用による治療に向けての研究
Project/Area Number |
14657531
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
利谷 幸治 九州大学, 歯学研究院, 助手 (60284519)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大石 正道 九州大学, 歯学研究院, 助手 (70037505)
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Keywords | 骨浸潤 / ODF / PTHrP / IL-1 / 口腔扁平上皮癌 |
Research Abstract |
先ず、口腔扁平上皮癌由来細胞株における、osteoclast differentiation factor(ODF)の発現を、既存の細胞株、SAS NA,HSC-2,当科にて樹立した、SQ-UUにて観察した。その結果、すべての細胞株でRT-PCRにて、その発現が認められたが、現在mRNAが可溶性ODFか、膜貫通型ODFかをmRNAをクローニングして検討中である。また、ODF以外のタンパク質で破骨細胞分化、活性化に関与するIL-1、TNFa、負に制御するγIFNなどのサイトカインについて、同様にRT-PCR法にて確認したところ、IL-1、TNFaは発現を認めたが、γIFNは認めなかった。 細胞株だけでなく、手術標本から得られた資料より、ODFの発現をまずRT-PCRにて調べ、陽性例について現在in-situ hybridization法で癌細胞の発現か否か確認している。また、IL-1、TNFaの発現と、さらに破骨細胞活性化因子である、副甲状腺ホルモン関連タンパク(PTHrP)の発現を、免疫組織学的に観察したところ、骨転移した口腔扁平上皮癌細胞から、これらタンパクが原発巣にくらべて、多く発現していることが確認された。歯肉癌において骨浸潤なし、平滑型、虫食い型に分類し、IL-1は虫食い型にやや多い傾向が認められ、PTHrPは、他のタイプと比べ虫食い型で有意にその発現が高かったことがわかった。これらの現象から、やはり破骨細胞を分化ないしは活性化する因子を多く発現する癌細胞が、骨浸潤しやすく、さらにこれらのマーカーを用いて、骨浸潤を予測し、臨床応用するべく、精度の向上にむけ、ODFなど新たなマーカーについて、さらに検討していく予定である。
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