2002 Fiscal Year Annual Research Report
歯垢細菌のAcid shock後の生存率を利用した齲蝕リスクテストの開発
Project/Area Number |
14657540
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
畑 弘子 東北大学, 歯学部附属病院, 助手 (20180630)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
畑 真二 東北大学, 大学院・歯学研究科, 講師 (20208507)
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Keywords | 齲蝕リスク / 歯垢細菌 / acid shock |
Research Abstract |
齲蝕は、エナメル質が長時間、低pHに曝され、生じてくる疾患であるから、齲蝕リスクの高い歯垢ほど、酸性環境により適応していると考えられる。そこで,本研究では,歯垢にacid shockを与えた場合の歯垢細菌の生存率を調べ,齲蝕の有無との関連を調べた。 被験者は,2.5歳から9歳までの小児21名で,齲蝕経験なしが10名(平均年齢5.0歳),齲窩ありが11名(平均年齢5.2歳)である。乳臼歯隣接面から、滅菌探針で歯垢を採取し、輸送培地(RTF)中に移し、超音波ホモジナイザーで均一に懸濁した。懸濁液の一部を,50mM乳酸を含むRTF(pH4.0)中およびコントロールとして50mMリン酸カリウムを含むRTF(pH7.0)中で60分間,36℃でインキュベートして、acid shockを与えた後、段階希釈して、血液寒天培地およびMS培地に植えて嫌気培養し、コロニー数を数えた。 acid shock後の生存率は,log (pH4の生菌数)-log(コントロールの生菌数)として求めた。 pH4.0で60分のacid shockを与えた場合の血液寒天培地に生育する細菌の生存率は,齲蝕経験なしが-0.68(S.D. 0.16),齲窩ありが-0.68(S.D. 0.18)で両群間に差がなかった。MS培地では齲蝕経験なしが-1.51(S.D. 0.60),齲窩ありが-1.24(S.D. 0.08)で,齲蝕経験なしの群の生存率が低い傾向を示したが,統計学的に有意な差はなかった。 発酵性炭水化物を摂取すると,隣接面の歯垢pHは,直ちに4付近まで低下し,長く持続するといわれているが,今回のpH4.0で60分のacid shockでは口腔連鎖球菌の生存率は,唾蝕の有無にかかわりなく,10%以下になってしまうことから,今後acid shockの条件(pH,時間,懸濁液)を検討し,齲蝕リスクとの関連を調べていく予定である。
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