インターネットを用いた遠隔患者サービスシステム及び矯正歯科用電子カルテの開発

2002 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 14657548
• Research Institution: Showa University
• Principal Investigator: 中納 治久 昭和大学, 歯学部, 助手 (80297035)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 槇 宏太郎 昭和大学, 歯学部, 講師 (80219295) ; 久保田 雅人 昭和大学, 歯学部, 助手 (30297030)
• Keywords: 保険診療プログラム / 唇顎口蓋裂 / 顎変形症 / 保険請求マニュアル / 診療録 / 情報開示

Research Abstract

【目的】近年,健康保険組合連合会は医療費の財政悪化を理由にレセプトの審査体制を強化し,過剰請求や請求ミスを防ぐことによる支出削減を実施する事を決定した.対象は保険制度に不馴れな矯正専門医においても例外ではない.また,最近の世論調査ではレセプトや診療録(カルテ)の開示を支持する声も多く,自治体レベルでは個人情報保護条例などに基づいてレセプトの全面開示を決定した事例も認められる.これらのことは,適正な診療録の記載や保険請求事務が必要であることを意味し,矯正歯科における保険診療を行なう上で必要不可欠である.
そこで今回,矯正歯科における保険診療内容と関連福祉制度を明確化し,保険医における知識の向上と適正な診療録記載の誘導,および患者サービスを行なうためのプログラムを開発する事を目的とした。
【方法および結果】
1.矯正歯科における保険診療のプログラム用情報収集
1)プログラム用保険請求マニュアル作成・現在までに出版されている矯正歯科分野での保険診療の手引は「唇顎口蓋裂の矯正治療」が唯一で,顎変形症と厚生労働大臣が定める他の疾患に関しては皆無である.そこで,歯科点数表の解釈(社会保険研究所出版)を参考に,実際の顎変形症および唇顎口蓋裂治療例を時系列でチャート化し,それぞれの診療録,レセプト,治療計画書,フォースシステム画像を作成した.また,診療録記載に必要な注意事項を別にまとめた.
2)注意・警告・ヘルプ機能をハイパーリンクするための情報収集・実際の保険請求マニュアルに相当する顔面写真,口腔内写真を1536×1024Pixel, JPEG形式でデジタル化した.今後,動画の作成を行う予定である.
3)矯正歯科における心身障害者福祉に関連した情報の収集・地方自治体で発行されている心身障害者のあらましを基に,音声言語障害,顎口腔機能障害に相当する部位を抜粋した.また,児童福祉法第20条,身体障害者福祉法第19条に定められた公費負担制度(育成・更生医用)に関する情報収集を行った.
4)歯科矯正における保健医療機関および特定承認保険医療機関の施設基準等の情報収集・地方社会保険事務局長における厚生労働大臣が定める施設基準とその申請に関して具体的な手順をチャート式に作成した.
2.矯正歯科における保険診療プログラムソフトの開発
・ソフト開発のマスタデータとして保険請求マニュアルを用いた.診断名より診療録を自動入力するために,それぞれの装置の算定手順をMicrosoft Excelを用いてチャート式に改編し,可能な限り単純な操作で入力可能にする事を試みた.
【考察】プログラム開発の基礎となる情報収集を行った.その結果,傷病名からの診療内容入力の基礎情報を構築したが、分かりやすいシステムとして実用化が可能になるためには,更なる改編と情報収集が必要と考えられた.