2003 Fiscal Year Annual Research Report
インターネットを用いた遠隔患者サービスシステム及び矯正歯科用電子カルテの開発
Project/Area Number |
14657548
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
中納 治久 昭和大学, 歯学部, 助手 (80297035)
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Keywords | 保険診療プログラム / 唇顎口蓋裂 / 顎変形症 / 保険請求マニュアル / 診療録 / 情報開示 / 電子カルテシステム |
Research Abstract |
【目的】 近年,健康保険組合連合会は医療費の財政悪化を理由にレセプトの審査体制を強化し,過剰請求や請求ミスを防ぐことによる支出削減を実施する事を決定した.対象は保険制度に不馴れな矯正専門医においても例外ではない.また,最近の世論調査ではレセプトや診療録(カルテ)の開示を支持する声も多く,自治体レベルでは個人情報保護条例などに基づいてレセプトの全面開示を決定した事例も認められる.これらのことは,適正な診療録の記載や保険請求事務が必要であることを意味し,矯正歯科における保険診療を行なう上で必要不可欠である. また最近,米国の病院では無線LAN(構内情報通信網)の利用が広がり始めている.病院内を動きまわる医師や看護師にとって作業効率を向上するためである.特に院内感染対策の観点からも電子カルテ化が重要である.平成15年の日本経済新聞によると,院内で行った手指の接触調査ではドアノブやテーブルよりカルテが一番多かったと報告されている. そこで今回,矯正歯科における保険診療内容と関連福祉制度を明確化し,保険医における知識の向上と適正な診療録記載の誘導,および患者サービスを行なうための電子カルテ用プログラムを開発する事を目的とした。 【方法および結果】 1,矯正歯科における保険診療のプログラム用情報収集 1)プログラム用保険請求マニュアルの改編;昨年度に作成した実際の顎変形症および唇顎口蓋裂治療例のプログラム用保険請求マニュアルを改編し,各装置のおける請求手順の誘導マニュアルを作成した.診断名より診療録を自動入力するために,それぞれの装置の算定手順をMicrosoft Exelを用いてチャート式に改編し,可能な限り単純な操作で入力可能にした. 2)疑問点に関するQandA作成;日本矯正歯科学会で調査した歯科矯正保険制度に関するアンケート結果から,疑問点に対するQandAを作成した. 3)矯正臨床の説明用プログラムの完成;昨年収集したデータに加え,動画作成に必要な顔面写真,口腔内写真を1536×1024Pixel,JPEG形式でデジタル化した. 2,矯正歯科における保険診療プログラムソフトの開発 ソフト開発のマスタデータとして,顎変形症および唇顎口蓋裂治療のおける請求手順の誘導マニュアルを用いた.しかし,汎用可能にするためには繁雑な操作を必要とする.そこで,電子カルテのプログラム作製技術に優れている企業との産学協同開発の必要性が考えられた. 【考察】 近年,無線LAN(構内情報通信網)の利用が広がり始めている.今回作成したマニュアル・チャートは矯正歯科に特化した物である.今後の歯科における医療費の財政悪化、レセプトや診療録(カルテ)の開示,作業効率を向上,院内感染対策等を考えると,一般歯科との情報の共有が必要である.よって,既に開発されている歯科用電子カルテシステムとのリンクを実現すべく方法の開発が重要であると示唆された.
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