2002 Fiscal Year Annual Research Report
新規疎水性触媒システムを用いる水中での脱水反応の開発
Project/Area Number |
14657560
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小林 修 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 教授 (50195781)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
眞鍋 敬 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助教授 (00251439)
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Keywords | スルホン酸 / 界面活性剤 / 脱水反応 / グリーンケミストリー / 高分子触媒 / 加水分解 / ブレンステッド酸 / 水中反応 |
Research Abstract |
水中での有機合成反応、中でも反応基質に対して極少量の触媒を用いる触媒的合成反応の開発は、環境調和型化学反応開発の観点から、極めて重要な課題である。更に、水が有する特異な性質を積極的に活用することにより、有機溶媒中では実現できなかった反応性・反応選択性を具現できる可能性があり、反応化学の視点からも興味深い研究領域である。筆者らはすでに、界面活性剤とBronsted酸との性質を併せ持つ分子であるドデシルベンゼンスルホン酸(DBSA)が、水中での脱水エステル合成反応に有効な触媒であることを報告した。このような「水中での脱水反応」は、従来の化学の常識から逸脱したユニークなものである。本研究ではこの反応系を発展させ、以下の触媒反応系を開発した。 (1)DBSAを用いる水中での脱水的エーテル化反応、チオエーテル化反応、ジチオアセタール化反応、トランスエステル化反応を開発した。また、これらの水中脱水反応の効率を支配する因子について明らかにした。 (2)高疎水性高分子担持型スルホン酸触媒が、水中での脱水エステル化反応に有効であることを見出した。本触媒は、反応終了後に回収し、再使用することが可能である。また、本触媒において、高分子へのスルホン酸残基の導入率が触媒能に大きく影響を与えることを明らかにした。 (3)上記の高疎水性高分子担持型スルホン酸触媒が、水のみを溶媒として用いるチオエステルの加水分解反応に、他の酸触媒と比較して遥かに有効であることを見出した。また、チオエステルからチオエーテルへの官能基変換反応も効率的に進行することも明らかにした。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Manabe, K., Kobayashi, S.: "Dehydrative Esterification of Carboxylic Acids with Alcohols Catalyzed by Polymer-Supported Sulfonic Acids in Water"Adv.Synth.Catal.. 344. 270-273 (2002)
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[Publications] Manabe, K., Iimura, S., Sun, X.-M., Kobayashi, S.: "Dehydration Reactions in Water. Bronsted Acid-Surfactant-Combined Catalyst for Ester, Ether, Thioether, and Dithioacetal Formation in Water"J.Am.Chem.Soc.. 124. 11971-11978 (2002)
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[Publications] Iimura, S., Manabe, K., Kobayashi, S.: "Hydrophobic Polymer-Supported Catalyst for Organic Reactions in Water : Acid-Catalyzed Hydrolysis of Thioesters and Transprotection of Thiols"Org.Lett.. 5. 101-103 (2003)