2002 Fiscal Year Annual Research Report
カルベンの立体特異的C-H挿入反応を経る不斉4級炭素の構築
Project/Area Number |
14657566
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Research Institution | Gifu Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
正木 幸雄 岐阜薬科大学, 薬学部, 教授 (20082977)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 彰近 岐阜薬科大学, 薬学部, 助手 (10203126)
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Keywords | ジクロロカルベン / C-H挿入反応 / 不斉3級アルコール / 不斉4級炭素 / ジクロロメチルカルビノール / 不斉合成 / α-メチルフェニルアラニン / α二置換不斉アミノ酸 |
Research Abstract |
代表的な不斉2級アルコールの非ベンジルアルコール型として(R)-(-)-2-octanol (1a),(R)-(-)-1-phenyl-2-propanol (1b)、ベンジルアルコール型として(R)-(+)-1-phenyl-1-ethanol (1c)を原料基質に用い、標記研究課題の検討を行った。 (1)これらの不斉2級アルコールをTMSエーテルとした後、触媒量のcetyltrimetylammoniumu chloride (CTAC)の存在下、chloroformと50%NaOH水溶液と共に18時間加熱撹拌し、次いで塩酸で処理することにより、それぞれ不斉3級dichloromethylcarbinol体(2a,2b,2c)を収率39,31,60%で得た。その際、52,61,23%の原料を回収した。この反応では立体特異的に挿入反応が進行していることをchiral HPLCにより確認している。(2)2aをMeOH中K_2CO_3で室温、短時間処理すると2-chlorooxirane誘導体(3a)が得られた。このものをTHF中、室温で15-crown-5 (1eq)の存在下、NaN_3 (3eq)と処理し、α-azide-aldehyde (4a)を78%で得た。このものは還元・酸化によりα二置換アミノ酸(S)-(+)-(5a)に誘導できた。2bからも同様の処理により4bを経て(S)-(-)-5bに変換できた。この変換過程は完全立体反転で進行していることをchiral HPLC及び不斉アミノ酸の同定により確認している。(3)3aをTHF中、室温で18-crown-6 (1eq)の存在下、KCN (3eq)と処理し、α-cyano-aldehyde (6a)を66%で得た。このものは還元・酸化によりα二置換シアノ酢酸(R)-(+)-(7a)に誘導できた。3bからも同様の処理により6bを経て(R)-(-)-7bに変換できたこの変換過程は完全立体反転で進行していることをchiral HPLC及び不斉シアノ酢酸の道程により確認している。(4)2cを2aと同様にK_2CO_3で処理すると2-chlorooxirane誘導体(3c)が得られた。このものは不安定であったが、(2)、(3)と同様の処理により、それぞれα-azide-aldehyde (4c)(77%)及びα-cyano-aldehyde cyanohyrine (8)(71%)を得た。これらは、還元及び酸化により、α二置換酢酸誘導体へ変換したところ、それぞれ(R)-(-)-(5c)及び(S)-(+)-(7c)であることが分かった。即ち、不斉中心は原料(1c)の立体化学が保持されていることが分かった。また、本変換課程も立体特異的に進行していることをchiral HPLCで確認している。
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Research Products
(1 results)