2004 Fiscal Year Annual Research Report
NMRによる原子レベルでの分子間相互作用スクリーニング法の開発
Project/Area Number |
14657569
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
寺沢 宏明 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助手 (10300956)
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Keywords | 転移交差飽和法 / CERT / NMR / 相互作用解析 / PtdIns4P / セラミド / PHドメイン / リポソーム |
Research Abstract |
脂質分子の生合成および細胞内輸送は、生体膜の形成と細胞機能の維持に不可欠である。リガンド脂質を輸送するタンパク質が、脂質二重膜と相互作用し機能する様子を解析する方法の開発は重要である。近年、小胞体からゴルジ体へのセラミド分子の輸送を直接担う分子であるCERTが同定された。CERTはN末端にphosphatidyl-4-monophosphate (PtdIns4P)を認識するPHドメインを、C末端にceramideを認識するSTARTドメインをそれぞれ有する分子量約70kDaの細胞質タンパク質である。PHドメインが、ゴルジ膜上のPtdIns4Pを認識することにより、小胞体-ゴルジ間特異的ceramide輸送経路を獲得しているものと考えられる。 NMRによる構造生物学的解析を行うため、^<15>N標識したPHドメインを調製して^1H-^<15>N HSQCスペクトルの測定を行い、アミノ酸残基数(117残基)と同数のピークを検出できるNMR測定条件を確立することに成功した。次に、PHドメイン上におけるリガンドとの相互作用に関与するアミノ酸残基を明らかにするため、PtdIns4Pを組み込んだリポソームをリガンドとしてNMR滴定実験を行った。その結果、PtdIns4P認識ドメインはPtdIns4Pのリン酸基部分近傍および脂質膜分子表面を認識している可能性が示唆された。 PHドメインにおけるPtdIns4P含有リポソーム結合界面を同定するため、当研究室で開発された転移交差飽和法を適用した。その結果、PHドメインは、PtdIns4Pの頭部だけでなく、脂質膜をループ領域で認識することがわかった。本研究は、細胞膜における生体分子の相互作用を観測する手法を提示するものであり、脂質認識タンパク質のみならず、細胞膜において機能する分子の研究に広く適用可能である。
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Research Products
(2 results)