2002 Fiscal Year Annual Research Report
染色体改変に基づく新規ヒト人工染色体ベクターの構築
Project/Area Number |
14657609
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
押村 光雄 鳥取大学, 医学部, 教授 (20111619)
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Keywords | ヒト人工染色体ベクター / Human Artificial Chromosome / HAC / 染色体改変 / DT40 / ヒト21番染色体 |
Research Abstract |
ヒト人工染色体(Human Artificial Chromosome ; HAC)ベクター系は,染色体それ自体をベクターとして用いる。このため(1)宿主染色体に挿入されず独立して維持される(宿主遺伝子を破壊しない)、(2)一定のコピー数で長期間安定に保持される(過剰発現、発現消失の懸念がない)、(3)導入可能なDNAの長さに制限がない(正常な発現制御を保証するDNAエレメントを含む遺伝子や複数遺伝子を同時に導入可能)、という特徴が期待されるが,実現には至っていない。そこで本研究は,HAC基本ベクターの構築を目的とした。 その手順として,(1)ヒト21番染色体から染色体改変技術により不要な遺伝子を除去したHACを作製する,(2)Cre/loxPシステムにより外来DNAを導入する手法を確立する,(3)導入遺伝子の発現を確認する,ことを計画した。ヒト染色体の改変は相同組換えを高頻度に起こすニワトリBリンパ細胞株DT40において行う。本年度は出発資材となるヒト21番染色体を保持するDT40雑種細胞の作製を行った。 はじめにヒト染色体を1本保持するマウスA9細胞ライブラリーをヒト21番染色体上のSTSマーカーを用いたPCRによりスクリーニングし,21番染色体を保持するクローンを同定した。次に21番染色体を微小核細胞融合法によってDT40細胞に移入することを試みた。通常の方法ではG418耐性クローンが得られなかったため,移入法の条件検討を重ねた。その結果,浮遊細胞であるDT40をポリ-Lリジンでコートした培養ディッシュ上に付着させて細胞融合することで,G418耐性クローンが得られた。ヒト21番染色体上のSTSマーカーを用いたPCRとFISH解析によって,DT40雑種細胞中にヒト21番染色体が存在することを確認した。染色体改変によりHACベクターを構築するための出発資材が整備できたといえる。
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