2002 Fiscal Year Annual Research Report
病気におけるすこやかな生への「はずみ」に関する研究
Project/Area Number |
14657637
|
Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
鈴木 泰子 信州大学, 医学部・保健学科, 助手 (60283777)
|
Keywords | 子ども / 慢性疾患 / すこやかさ / はずみ / フィールドワーク |
Research Abstract |
【研究目的及び内容】病気における健やかな生へのはずみについて先行研究に関する文献検討をすすめ、病気とともに生活し成長する子どもにとって健やかさへのはずみとなる経験がどういうものであるのかに関するフィールドワークを行った。はずみとは元来備わっているとされる何か恐ろしい、ストレスフルな状況に遭遇しても元の自分に戻ることのできるこころの弾力性と定義した。【対象】慢性疾患の10歳〜18歳の子ども4名で発症後6年以上経過した者。【データ収集期間及び方法】2001年12月からのデータに加えて、2002年4月〜2003年2月まで間で、参加観察とインタビューによってデータ収集を明確で自発的な同意の得られた者に対して実施。また医療従事者、養護教諭、保育士、慢性疾患とともに成人した大学生・大学院生10名に対するヒアリングも行い、子どもたちの生活過程における健やかさに関するテーマの抽出・絞込みを行った。分析に際しては適宜研究者によるスーパーバイズを受け、内容を質的に分析した。【結果】テーマとして1)子どもの健やかさは病気という過程を通してさらに広がりをもつものになる可能性を持つ、2)病気とともに健やかであることには適切な情報提供や周囲の者による適切なサポートが重要な影響を及ぼすが、身体感覚を通して認識された回復への直観のようなものの及ぼすものも大きい、さらに、3)病気とともに成長するプロセスの中で子どもが自らの健やかさを確認する転機となるものとして、歩行可能になること、好きな活動が出来ること、友達といっしょに同じことができること、が抽出された。【次年度の方向性】今後さらにデータ収集や分析を洗練させるために専門家によるスーパーバイズを受けることと、研究方法論としてエスノグラフィを用いることを計画中である。フィールドワークの分析をすすめ結果を公表することで本調査の研究計画を明確化し文献検討及びデータ収集をすすめる予定である。
|