2002 Fiscal Year Annual Research Report
在宅療養高齢者の入院生活を回避するための戦略と外来看護アウトカム測定用具の開発
Project/Area Number |
14657648
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
松田 ひとみ 筑波大学, 社会医学系, 教授 (80173847)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
紙屋 克子 筑波大学, 社会医学系, 教授 (90272202)
増田 元香 筑波大学, 社会医学系, 講師 (60284642)
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Keywords | 在宅療養高齢者 / 入院生活の回避 / 戦略 / 外来看護アウトカムモデル / ルサンチマン / 愛着行動 |
Research Abstract |
本研究は研究の開始年度として、外来受診時の高齢者を対象に研究に関する同意を受けた後に、参加観察と面接を通して外来での過ごし方や看護への期待の内容を調査した。対象は65から91歳であり、暮らし方別の内訳は、ひとり暮らし2名、家族と同居は3名。主な疾患は、循環器系疾患(高血圧、狭心症、心不全症状、脳卒中後遺症)等の慢性疾患であり、医師や看護師とは4ヶ月以上に及ぶ継続的な交流があった。参加観察の結果、外来待合室での過ごし方には特徴的な現象はみられず、一様に寡黙に時を過ごしていた。高齢者と医師や看護師との交流は、主に診察の場面を通して行われていた。 面接調査の結果、ひとり暮らし高齢者の主な話題は、自分の生活やソーシャルサポートに関する内容であった。データを一次コーディングした結果、「伝達する」「確認する」「保証される」「安心する」「情緒的連帯感の獲得」「社会性の維持」「気分転換」「闘病意欲」「自尊感情の維持」「在宅生活への執着」「在宅生活のめやす」「自分でできること」「セルフケアの限界」「家族との距離」「看護師からの配慮」「医師からの指導・助言」「死への準備」等が抽出された。以上から、外来受診はひとり暮らしの高齢者が在宅生活を維持するための「ペースメーカーとしての役割をもつ」、「入院しない方法」や「最期を遂げる時の準備」のカテゴリーが想定された。一方、家族と同居の高齢者は、「家族(子ども)の意向と依頼」「親子関係」「家族の介護負担の不安」「自分の部屋」「ボケないこと」「歩けること」「感謝すること」等がコーディングされた。これらは、ひとり暮らしと家族同居の高齢者とを比較するために有用なデータであると思われた。今後は家族関係の条件を加えた上で、さらにデータを集積し、中心カテゴリーとストーリーラインを提示する予定である。
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