2003 Fiscal Year Annual Research Report
中途障害者が障害を受け容れる意味と生活の再構築に向けたケアリングのモデル開発
Project/Area Number |
14657656
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
粟生田 友子 福島県立医科大学, 看護学部, 助教授 (50150909)
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Keywords | acceptance of disability / adjustment / リハビリテーション期 / ケアリング / 看護師の心理社会的ケア |
Research Abstract |
本研究は、昨年度までにリハビリテーション過程における看護師の心理的ケアに関して、1940年代から現在までの文献を検討し概念分析を行い、「acceptance of disability」がケアのアウトカムを見るための概念として設定できた。しかし、この概念はリハビリテーション分野の医療職に頻繁に使用されているものの、非常に広範な意味を持ち、抽象度が高く、看護職が中途障害を負った患者に対して行う日常的なケアのアウトカムを測定するのに適さないと考えられた。 本年は、第1段階として4月〜12月にかけ、臨床の場で、脳血管障害の回復期にある患者に対して、看護職がどのような心理的ケアを実践しているかを参加観察とインタビューによって確認した。臨床の看護師のケア場面の参加観察から得られた心理的ケアに含まれる要素として「場面」「気持ちの伝達」とが抽出され、「場面」は<看護師の意図的な働きかけの場面><患者が癒されたケアを看護師が認識できない場面><患者が看護師に求めたケアに看護師が反応できない場面>に分類され、「気持ちの伝達行動」には<言葉かけ><身体ケアを介する伝達><身体接触を介した伝達><見守りからの伝達>などが含まれた。しかし、具体的なケア行動をどのように記述しうるかについての方法論上の検討の必要性が残った。 第2段階として、昨年の概念分析を踏まえ、acceptance of disabilityの概念の本質的な意味と構成概念を探究するため、この概念の研究が盛んな米国でのリハビリテーション医療の場でどのように概念が使用されているか、文化的な相違を含めて検討した。第1段階と同様の参加観察法で米国の看護師のケアを観察したところ、日本でのケアと内容上の違いは少ないが「説明」「同意」「確認」に関して米国ではより具体的行為として展開されていたこと、ケアのアウトカムを見るためには、acceptanceの構成概念であるadjustmentに注目した方が、患者へのケアリングに向けられる実践的な行為が明確になる可能性があることが示唆された。
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