2002 Fiscal Year Annual Research Report
精神科における危険防止のための介入技術の開発に関する研究
Project/Area Number |
14657658
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
鈴木 啓子 静岡県立大学, 看護学部, 助教授 (60224573)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大屋 浩美 静岡県立大学, 看護学部, 助手 (10315856)
石村 佳代子 静岡県立大学, 看護学部, 助手 (40295564)
金城 祥教 筑波大学, 社会学系, 教授 (00205056)
吉浜 文洋 静岡県立大学, 短期大学部, 助教授 (80369545)
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Keywords | 精神科 / 危機予防的介入 / 危険防止 / 看護技術 / 精神障害者 / セルフコントロール / 隔離・拘束 / 急性期看護 |
Research Abstract |
本研究の目的はわが国の精神科における危険防止のための看護技術を明らかにし、より安全な技術を開発することである。平成14年度の研究成果は下記のとおりである。 1.1992年から2001年までに発行された精神科看護のテキストを検討した結果、興奮、攻撃などの症状別看護と隔離拘束時の看護は別項目に記載され、セルフコントロールを失い始める段階から完全に失ってしまい、それを取り戻す過程における看護技術としては記述されてなかった。精神保健福祉法の遵守が強調されているが、危険性の高い患者をケアする看護師の安全を守る具体的な技術の記載はほとんどなく、実践知の探求の必要性が明らかになった。 2.先進的な精神科医療を提供している10施設のマニュアルを検討したが、具体的な危機介入看護技術について記述された施設は1施設のみであった。他は、隔離拘束マニュアル、急性期病棟の標準看護などのマニュアルが作成されているが、患者の危機を一連の流れとして捉え、なおかつ看護師の具体的な動き方まで記載されたものはなかった。多くは看護師の中に暗黙知としてあることが明らかになった。 3.以上1,2の成果から、先進的な精神科医療を提供している3施設(東京、静岡)における急性期看護経験のある看護師38人へのグループインタビューを計6回実施した。その結果、患者の危機については、そのコントロールが失われ始める段階、看護師への抵抗が強くなる段階、さらにコントロールが大幅に失われ他者への危害の危険が大きくなる段階、そしてコントロールを取り戻す4段階があり、それぞれの段階で、看護師たちが重視している観察項目、判断の基準、具体的な患者への対応の技術が明らかになった。それらを整理するとともに、海外で用いられている技術や日本伝来の武術や、護身術などの検討をすることにより、より安全な危険防止のための介入技術を明らかにすることが今後の課題である。
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