2002 Fiscal Year Annual Research Report
脳死臓器移植における積極的な患者・家族支援に関する研究
Project/Area Number |
14657662
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
平尾 百合子 北里大学, 看護学部, 講師 (50300421)
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Keywords | 脳死臓器移植 / 患者・家族支援 / 看護師役割 |
Research Abstract |
本研究は、脳死臓器移植における患者・家族支援に関する看護の重要性に鑑み、移植医療における看護師の役割を明らかにし、ドナーとレシピエント、その家族が抱える精神的・社会的問題に対する積極的な支援方法を明らかにすることを目的としている。 平成14年度においては、国内および海外(特に米国)の脳死臓器移植の実態を書籍や文献、インターネットなどを用いて広く検索を行い、国内および海外における臓器移植の問題を抽出した。 1997年10月「臓器の移植に関する法律」施行後から2002年12月までの間、日本国内では24件の脳死臓器提供による臓器移植が94件実施された。しかし、国内における脳死臓器提供数は、年間8件以内と停滞しており、待機患者数増加に伴い、その差は大きくなる一方である。また、小児に関しては、未だ臓器提供が認められていないため、相変わらず海外での移植に頼っている。しかし、年間20,000件近くの移植手術が行われている米国においても、移植希望者が移植数の倍以上いるため、臓器不足は深刻な問題となっている。現代日本において、脳死臓器提供が進まない理由の一つとしては、各個人の遺体観・死生観・宗教観・哲学などに基づく多様な価値観の相違による社会的問題が考えられる。さらに、レシピエントの家族は、自分が脳死になった場合、移植を必要としている親族に臓器の提供を希望しても認められないという新たな問題を抱えている(平成14年7月の臓器移植法の運用に関する指針の一部改正:本人の意思表示に基づく臓器提供は認めないこととする)。 このように複雑な問題を抱えている患者・家族に対する支援方法を模索するために、今後は脳死臓器移植の経験のある医療施設で勤務している国内および米国の看護師に対して、待機患者への対応、移植後の社会復帰に関する問題などについて、広く調査を実施する必要性がある。
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