Research Abstract |
研究目的:(1)上部消化管がん(胃がんや食道がん)切除患者の術後の栄養状態回復と食生活行動について,実態を把握する(2)術後の生活上の問題とその支援の方向性について検討する. 研究方法:選定基準を満たす上部消化管がん切除患者283名を対象に,自記式アンケート調査を配布・回収共に郵送法で行った.倫理的配慮として,自由意志による研究参加への同意,プライバシーの保護について,研究協力依頼書にて説明し,回答の返信をもって同意を得たとみなした.(2)術後の生活上の問題については,自由記述を依頼し、意味内容の類似性があるものをまとめ、その内容を忠実に反映させ、簡潔に表現した. 結果:胃がん190名(80.1%;男性132名,女性58名),食道がん47名(19.8%;男性44名,女性3名)であった.手術後の経過期間別では,3ヶ月以上6ヶ月未満27名,6ヶ月以上1年未満46名,1年以上2年未満70名:58.0±16.5点,2年以上3年経過94名:58.9±14.8点,であった.手術前後の体重減少の平均は,7.83±6.9kgであった.BMIの平均値は16.9±6.9であった.食事状況に関する質問内容の結果は,食事回数平均は3.01±0.39回/日(n=237),間食回数平均は1.76±0.93回/日(n=211),食事にかける時間は24.3±11.5分(n=237),食後の休息は41。0±30.0分(n=233)であった.他,自由記載の内容を質的分析した結果,術後の生活において,食事,移動,排泄,睡眠,コミュニケーション等の日常生活全般で困っている問題が生じていた.問題の中でも,特に,体力低下で困っているあり様が示されていた.今後は,食生活行動、ならびに体力低下に対する生活支援の方向性について具体的検討が必要であることが明らかになった.
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