2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14658028
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Research Institution | Heian Jogakuin(St.Agnes')University |
Principal Investigator |
酒井 洋 平安女学院大学, 生活環境学部, 助教授 (90310648)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 博昭 県立新潟女子短期大学, 生活学科, 教授 (20123218)
呑海 信雄 県立新潟女子短期大学, 生活学科, 教授 (90237181)
橋本 雅好 平安女学院大学, 生活環境学部, 講師 (00351239)
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Keywords | 超臨界二酸化炭素 / 洗浄 / 染色 / 染色加工 / クリーニング / 被服 / 赤外スペクトル / 繊維 |
Research Abstract |
超臨界二酸化炭素を繊維製品の染色加工に利用する試みは盛んであるが、被服の洗浄への利用に関する研究はほとんど行われていない。また実際の洗濯は白物だけでなく色物も多いため、超臨界二酸化炭素に対する染色布の染色堅牢性を調べることは、クリーニングへの利用の実用化に向けて重要なことであると考えられる。そこで今年度は、超臨界二酸化炭素による各種繊維の染色加工布の洗浄について検討した。汚染した天然繊維と合成繊維の染色布を超臨界二酸化炭素で処理し、色変化ならびに洗浄効果について検討を試みた。 綿を直接染料または反応染料、羊毛を酸性染料、アクリル、ポリエステル、ナイロンを分散染料で染め、染色布を作製した。さらに、これらの染色布に汚れ成分としてステアリン酸を付着させ、汚染布を作製した。そして各汚染布に対し、温度35℃、圧力10MPaまたは30MPaの条件で30分間超臨界二酸化炭素処理を行った。その後赤外スペクトルと可視領域の分光反射率の測定を行い、洗浄効果と染色堅牢性の評価を行った。 赤外分光法はステアリン酸の炭化水素鎖の伸縮振動バンドを感度良く測定できる。そのバンド強度からステアリン酸の付着量が分かり、洗浄効果を見積もることができる。結果として、超臨界処理により、どの布においてもステアリン酸をほぼ完全に除去することができた。 次に布の分光反射率を測定したところ、10MPaの超臨界二酸化炭素の処理では色の変化はほとんど見られなかった。つまりこの条件のもとでは、色物は色落ちさせずに汚れを落とすことができることが分かる。一方、30MPaの超臨界二酸化炭素で処理を行った場合、合成繊維で、若干の色の変化が見られることがあった。超臨界二酸化炭素は適切な条件を選ぶことにより染色加工布の洗浄に利用が可能であることを明らかにできたと考えられる。
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