Research Abstract |
本年度の研究実施計画の一つである「海藻茶」の作製に先立って,まず,輪島産素干しツルモおよびこれを水洗いの後に素干しにしたツルモの一般成分,無機質,フコイダンおよびアルギン酸を測定した。 素干しツルモおよび水洗いツルモの一般成分は,それぞれ灰分58.4g(100g乾物あたり,以下同様),16.2g,タンパク質7.5g,7.4g,脂質1.4g,0.6g,炭水化物32.7g,75.8gであった。無機質はそれぞれナトリウム6,830mg,1,280mg,カリウム18,000mg,1,440mg,カルシウム2,310mg,3,160mg,マグネシウム2,220mg,1,255mgと,水洗いによる減少は見られるものの極めて豊富であった。一方,鉄,亜鉛,銅などの微量金属については,水洗いの影響は明瞭でなかった。食物繊維はそれぞれフコイダン10.1g,1.3g,アルギン酸27.0g,34.7g,不溶性食物繊維12.8g,13.8gとなった。水洗いすることによってフコイダンの量が著しく減少したが,アルギン酸は含量が高く,水洗による流出が少ないため,喫食による摂取も容易であると推察された。以上の結果から,ミネラルとアルギン酸の供給源としてのツルモの有用性が認められた。 次に,荒木らの方法^<1)>に従い,ツルモの海藻茶を作成した。すなわち,海藻藻体を乾燥させて粉末化し,これを煎ったものを沸騰水に入れて1分間煮沸させるか,または煎った粉末に熱湯を注いだものを「海藻茶」とした。ツルモ茶浸出液中のミネラルを測定した結果,浸出率はカリウム57.0%,カルシウム56.8%,亜鉛76.2%,鉄17.1%となり,原藻に多く含まれるカリウム,カルシウムや微量金属の亜鉛の摂取にツルモ茶が有効であることがわかった。 1)荒木葉子,森宏枝:アカモクの水溶性ビタミン類とお茶への利用,東京家政学院大学紀要,37,9-13(1997).
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