2002 Fiscal Year Annual Research Report
疾患モデル動物を用いた小豆プロアントシアニジンの生理調節機能の検索
Project/Area Number |
14658034
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Research Institution | Aomori University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
佐藤 伸 青森県立保健大学, 健康科学部, 助教授 (40310099)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井澤 弘美 青森県立保健大学, 健康科学部, 助手 (20315534)
畑井 朝子 函館短期大学, 食物栄養学科, 教授 (60002557)
堀 友花 函館短期大学, 食物栄養学科, 講師 (60331211)
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Keywords | 疾患モデル動物 / 小豆 / プロアントシアニジン / ポリフェノール / 抗酸化物質 / ラット / 生活習慣病 |
Research Abstract |
プロアントシアニジン(PA)は、ポリフェノール化合物の一種であり、抗酸化物質として働く。これまで、PAは小豆にも含まれていることがわかっていたが、あんの加工やあんの色調・風味等の品質評価に関連した知見が多く、生体への影響に関する報告はほとんどなかった。そこで、我々は、小豆PAは腎障害や糖尿病等の疾患を予防あるいは軽減できるのではないかと考え、それをモデル動物に投与し、小豆PAの生理調節機能を明らかにすることを目的とした。 平成14年度では、シスプラチン(CDDP)誘発腎障害モデルラットに、小豆粒の中でも、特にPAを多く含む種皮を与えた。CDDPは、抗がん剤として臨床の場において広汎に使用されているが、副作用として腎障害を惹起することが報告され、活性酸素の関与が考えられている。本研究では、CDDP誘発腎障害ラットに対してPA含有量の異なる赤小豆及び白小豆種皮を与え、小豆PAの腎障害(間質線維化及び炎症細胞のひとつであるマクロファージ浸潤)に対する影響を検討した。その結果、腎障害の指標である血中の尿素窒素及びクレアチニン値は、CDDPを投与し通常食を摂取させた群では対照群に比べて上昇したが、小豆種皮添加食群のこれらの検査値は、通常食群に比べて減少する傾向がみられた。次に、組織学及び免疫組織化学的に調べた結果、CDDPを投与した群すべてに腎間質線維化が観察されたが、小豆種皮添加食群の単位面積あたりの線維化率およびED1陽性マクロファージ数は、通常食群に比べて有意に減少し、また、赤小豆と白小豆の比較においては赤小豆種皮添加食群に減少傾向が見られた。 これらの結果から、小豆の種皮、とりわけPAを多く含む赤小豆種皮は、CDDP誘発腎障害時の線維化の程度及び浸潤マクロファージ数の増加を抑制することが示された。小豆種皮は、CDDPによって生じる腎障害、特に、間質の線維化を軽減する効果(抗線維化効果)がある可能性が示唆された。
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