2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14658035
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Research Institution | Niigata Women's College |
Principal Investigator |
鈴木 裕行 県立新潟女子短期大学, 生活科学科, 助教授 (10235997)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石原 和夫 県立新潟女子短期大学, 生活科学科, 教授 (00077489)
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Keywords | 野菜 / 呈味成分 / 雪下貯蔵 |
Research Abstract |
新潟県などの豪雪地域では、古来、雪中貯蔵や雪下貯蔵といった雪を利用した冬季の野菜貯蔵が行われている。これらの方法で貯蔵された野菜は長期間にわたり鮮度の維持が可能になるばかりか、一般に香味が向上すると評価されている。本研究では、豪雪地の雪下貯蔵条件の実験室レベルでの近似的な再現を試み、雪下貯蔵中の野菜の香味変化および代謝的変動とそのメカニズムを解析することを目的としている。 平成15年度においては、実際の雪下貯蔵条件に近いと考えられる、低温恒湿庫での0〜1℃、湿度約90%の環境下で、4ヶ月間にわたる貯蔵実験を春取り・秋取りニンジンのそれぞれについて実施した。貯蔵期間中、経時的にニンジンを採取し、糖質、遊離アミノ酸、β-カロチン、グリセロールといった呈味成分および水分の量的変化を解析した。春取りニンジンを用いた結果では、グリセロール以外のいずれの成分も貯蔵2ヶ月から変化が見られた。4ヶ月目では、糖質でショ糖が約10%減少し、ブドウ糖・果糖がそれぞれ2倍に増加した。その結果、三糖の総量は約40%増加した。遊離アミノ酸では、Alaが最も含量が多く、Asp, Glu, Ser, Thrがそれに次ぎ、それ以外のアミノ酸は少なかったが、4ヶ月間の貯蔵で、Glu以外のアミノ酸は1.5〜2.5倍に増加した。Gluは2ヶ月日までで2倍以上に増加した後、3ヶ月日で著しく減少し、4ヶ月日にまた増加する、という特異な変動パターンを呈した。β-カロチンは4ヶ月目までに2倍弱増加した。また、水分は2ヶ月目より減少したが、4ヶ月間の減少量は5%程度であった。 以上の結果は、雪下貯蔵ニンジンで見られた貯蔵中の成分変化と類似しており、本実験で用いた貯蔵システムが貯蔵ニンジンに対して、雪下貯蔵と同様な効果を与えていることが強く示唆された。秋取りニンジンを用いた実験は貯蔵期間が終了したところで、現在、解析を進めている。
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