2004 Fiscal Year Annual Research Report
明治期におけるドイツ科学教育の導入と変容の研究-独創性育成の失敗原因を探る-
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14658039
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
大高 泉 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (70176907)
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Keywords | 明治 / ドイツ / 独創性 |
Research Abstract |
周知のように日本の科学研究の最大の問題点として指摘されるのが、独創性の不足である。これはノーベル賞受賞者数を他の先進国と比べてみると一目瞭然である。その原因が何処にあるのか。これについてはいろいろな観点から述べられている。しかし、明治期の科学教育の導入という観点からはほとんど論じられてこなかった。我が国は、明治10年代から、特にドイツの科学教育を導入した。当時のドイツは、独創性で群を抜く、いわゆる「ドイツ科学」を生み出していた。それにもかかわらず、なぜ我が国の科学研究が「ドイツ科学」のように独創性を発揮することができなかったのか。この原因を明治期のドイツ科学教育の導入の様態を詳細に分析することによって解明する必要があると思われる。そこで、3年間を通して明治10年代以降に始まったドイツ科学教育の導入の実態およびその特質と問題点を解明することを目的とする。 平成16年度も、昨年度の成果を踏まえ、明治に導入されたドイツ科学教育思想・システムは、どのような経路でどのように我が国の理科教育界に普及し、我が国の理科教育の原型を形成するに至ったか、そのプロセスの解明につとめた。特に、今まで着目されてこなかったクリューガーの物理教育思想に関する文献を収集し、明治初期の理科教育の典型である『物理階梯』とは、異なる理科教育思想の存在を確認した。これまで、ケールの『平民学校論略』の「理科」への影響は論じられたが、本書の理科の部分がクリューガーによることは新しい発見である。またクリューガー及びドイツの関連文献、樋口勘治郎、『普通教育理科教授資料』、大島鎮治、『理科教授の原理』等の資料を収集した。
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Research Products
(1 results)