2002 Fiscal Year Annual Research Report
カオス結合場としての身体性に基づくロボット行動創発の研究
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14658099
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
國吉 康夫 東京大学, 大学院・情報理工学系研究科, 助教授 (10333444)
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Keywords | カオス / 行動創発 / ロボット / 秩序状態 / 身体性 / 環境相互作用 / アトラクタ / カオス結合系 |
Research Abstract |
本研究は,多自由度の身体を相互作用場とする大域カオス結合系を用い,秩序状態の発生・変化と身体・環境の状態との関連性を実験的に解明することで,行動の創発における身体性の情報論的意味を明らかにすることを目的とする. 上記の目的に向けて、今年度は以下の研究成果をあげた。 (1)シミュレーション環境の構築:既存の動力学計算ライブラリを元に、任意のロボット身体を定義し、外部制御プログラムと双方向通信しつつ制御実験を行える実験環境を構築した。また、これと接続できるカオス結合系計算プログラムを構築した。 (2)カオス結合系の基礎実験:ロボット身体との接続実験以前に、カオス結合系単独での振舞いに関するデータと解析結果を確保しておく必要がある。まず、50個のロジスティック写像の配列を構成し、(1)各写像の出力に適当な混合係数をかけて近隣の写像への入力に足し込む構造(CML:カオス結合格子)、および、(2)各写像の出力に適当な混合係数をかけて他の全ての写像への入力に足し込む構造(GCM:大域結合カオス写像)を構成した。ロジスティック写像のパラメタおよび混合係数を系統的に変化させながら、系の状態の動的な振舞いを観測し解析した。パラメタに応じて、時間経過と共に系の振動状態が完全なカオスになったり、数個のクラスタを形成し秩序状態となることが確認された。次に、GCMについて、平均場の時間的振舞いを3次元時間遅れ座標系を用いたアトラクタ再構成により解析した。パラメタに応じて、フラクタル構造を有するアトラクタが発生していることが確認された。 (3)2次元多関節ロボットでのシミュレーション実験:2次元シミュレーション空間中で、数個の関節と直線リンクからなる蛇状のロボット、およびその両端を関節で結合しリング状にしたロボットを定義し、各関節を、独立なカオス写像(サークルマップ)によって駆動した。各写像の入力は対応する関節角とし、出力は対応する関節へのトルク指令とした。これによって、各写像の出力は、ロボットの身体を通して他の全ての写像入力に影響を及ぼし、その影響の度合いは、ロボットと環境との相互作用の状態に依存することになる。 以上により、次年度に予定する行動創発実験の準備が完了した。
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Research Products
(14 results)
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[Publications] A.Nagakubo, Y.Kuniyoshi, G.Cheng: "The ETL-Humanoid System --A High-Performance Full Body Humanoid System for Versatile Real World Interaction"Advanced Robotics. vol.17 no.2. (2003)
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[Publications] T.Yamamoto, Y.Kuniyoshi: "Stability and Controllability in a Rising Motion : A Global Dynamics Approach"Proc. of 2002 IEEE/RSJ International Conference on Intelligent Robots and Systems (IROS2002). 2467-2472 (2002)
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[Publications] H.Nakai, Y.Kuniyoshi, M.Inaba, H.Inoue: "Metamorphic Robot Made of Low Melting Point Alloy"Proc. of 2002 IEEE/RSJ International Conference on Intelligent Robots and Systems (IROS2002). 2025-2030 (2002)
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[Publications] I.Mizuuchi, R.Tajima, T.Yoshikai, D.Sato, K.Nagashima, M.Inaba, Y.Kuniyoshi, H.Inoue: "The Design and Control of the Flexible Spine of a Fully Tendon-Driven Humanoid "Kenta""Proc.of 2002 IEEE/RSJ International Conference on Intelligent Robots and Systems (IROS2002). 2527-2532 (2002)
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[Publications] M.Otake, Y.Kagami, Y.Kuniyoshi, M.Inaba, H.Inoue: "Inverse Kinematics of Gel Robots made of Electro-Active Polymer Gel"Proceedings of the 2002 IEEE International Conference on Robotics & Automation. 3224-3229 (2002)
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[Publications] Y.Kuniyoshi, Y.Yorozu, Y.Ohmura, T.Otani, T.Yamamoto: "From Humanoid Embodiment to Theory of Mind"Proc. of First Int'l Workshop on Man-Machine Symbiotic Systems. 293-310 (2002)
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[Publications] Y.Kuniyoshi, M.Shimozaki: "A Self-Organizing Neural Model for Context-Based Action Recognition"Proc. IEEE EMBS Conf. on Neural Engineering. (発表予定2003年3月). (2003)
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[Publications] Y.Kuniyoshi, Y.Yorozu, M.Inaba, H.Inoue: "From visuo-motor Self Learning to Early Imitation --A Neural Architecture for Humanoid Learning"Proc. IEEE Int.Conf.. on Robotics and Automation. (発表予定2003年5月).
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[Publications] 下崎 守朗, 國吉 康夫: "記憶に基づいた時系列パターン予測を行うニューラル・ネットワークモデル"日本ロボット学会学術講演会予稿集. 3H15 (2002)
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[Publications] 鈴木 真介, 國吉 康夫, 稲葉 雅幸, 井上 博允: "時系列記憶に基づく視覚的注意の切り替え"日本ロボット学会学術講演会予稿集. 3H14 (2002)
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[Publications] 深野 亮, 國吉 康夫, 稲葉 雅幸, 井上 博允: "模倣学習を目的としたロボットハンドの開発"日本ロボット学会学術講演会予稿集. 3E23 (2002)
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[Publications] 福本 康隆, 國吉 康夫, 稲葉 雅幸, 井上 博允: "物体操作行為の文脈主導型認識と遂行"日本ロボット学会学術講演会予稿集. 3H12 (2002)
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[Publications] 米倉 将吾, 國吉 康夫, 稲葉 雅幸, 井上 博允: "情動を伴う知覚のカテゴリー化に関するモデル"日本ロボット学会学術講演会予稿集. 3H11 (2002)
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[Publications] 國吉康夫: "AI事典 第2版 (「模倣」および「環境との相互作用」の項目)"共立出版. 4 (2003)