2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14658123
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Research Institution | Prefectural University of Kumamoto |
Principal Investigator |
今里 佳奈子 熊本県立大学, 総合管理学部, 助教授 (40234330)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今里 滋 九州大学, 大学院・法学研究院, 教授 (30168512)
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Keywords | 居住循環 / 高齢者福祉 / 受託政策 / NPO / 協働 / まちづくり / 地域づくり / 市街地活性化 |
Research Abstract |
本年度、まず手がけたのは、福岡市近郊の、かなり年数を経過した旧新興住宅地でのヒアリングである。数十年前に新興住宅地であった大都市郊外の住宅地には、現在、夫婦のみもしくは独居の高齢者が相当数暮らしている。例えば、最初にヒアリングを行った福岡県糟屋郡志免町向が丘団地は、総世帯数が247、居住人口668人。勤労者住宅生活協同組合によって1970〜71年に開発され、高齢化率は22.1%(志免町全体では14.1%)となっている。われわれは、こうした団地で、地域の実態をもっともよく把握していると目される町内会長を中心にヒアリングを進め、団地住民とくに高齢者住民の生活実態についての把握を進めた。同様のヒアリングは、同じく福岡市近郊の住宅都市である宗像郡福間町においても実施し、併せて町役場内の高齢者福祉担当者らからも高齢者居住の実態につき、事情を聴取した。 一方で、われわれは、自らの居住地である福岡市東区箱崎において、高齢者の行動様式についての観察調査を進めた。高齢者がどの程度の行動範囲を有し、その範囲内でどの程度の生活需要を自ら充足しているのかの観察とヒアリングである。 同時に、社会的実験として、高齢者のための「よさこいダンス教室」を、特定非営利活動法人筥崎まちづくり放談会主催というかたちで開始した。これは、現在、全国で急速に広まりつつあるよさこい踊りを高齢者にも踊りやすいように工夫し、参加を募るものである。参加の呼びかけに約20名が応じ、練習を重ねている。これは、高齢者が共通の趣味を持つことで相互に親睦を深めあい、心身共に健康な状態を維持向上させていくための、一種の社会装置づくりと考えることができる。 最後に、海外調査として、ニュージーランドを訪れた。同国においては、首都ウェリントン市内及び郊外の退職者コミュニティ(リタイアメント・ビレッジ)、在宅の高齢者に様々なサービスや情報を提供するNGO、ウェリントン市役所、ハット市役所において高齢者の生活実態についてのヒアリングを行った。現在、ニュージーランドにおいては、退職した高島者が集団で生活するリタイアメント・ビレッジが各地に作られている。経営主体の多くは、民間の企業である。一方、このような郊外型集団居住を好まない高齢者が都心に住み続ける場合のサポートについては、NGOが、大きな力を発揮している。また、自治体の住宅政策においては、かれらに借家を提供する施策が大きなウェイトを占めているが、その方向性は、政府の役割の縮小という大きな流れの中で、未だ見えない状況であるといえる。
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Research Products
(2 results)